ロピア傘下で再建に取り組む「スーパーバリュー」進捗に遅れ 5期ぶりの黒字化を目指すが
2022年8月に、スーパー「ロピア」を展開する当時のロピア・ホールディングス(川崎市、現OICグループ)の傘下に入り、経営の立て直しに取り組んでいる関東圏で食品スーパーとホームセンターを展開するスーパーバリュー<3094>に、進捗の遅れが生じている。
スーパーバリューは2024年10月15日に中期経営計画を下方修正し、当初2025年2月期に714億700万円と見込んでいた売上高を670億5700万円に、同16億1900万円の赤字を見込んでいた営業損益を19億6700万円の赤字にそれぞれ引き下げた。
ロピア支援による対策は進んでいるものの、これに伴う売り上げの減少や経費の増加、さらには予定していた店舗の売却中止や閉店予定の不採算店の継続運営などが加わったことなどから計画を見直した。
スーパーバリューではロピアとの共同開発によるモデル店舗の構築を進めるとともに、ロピアとのシナジー発揮に向けてさまざまな取り組みを展開することで、2026年2月期に黒字転換を目指すとしている。
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2026年2月期は5期ぶりの営業黒字に
スーパーバリューは人手不足や賃金の上昇、新店出店に伴う経費の増加などにより2019年2月期と2020年2月期に2期連続で営業赤字に陥った。当時は小売業界全体が、人手不足や人件費、物流費、仕入れ価格の上昇げなどにさらされており、他の上場食品スーパーでも、増益を達成する企業はあったものの、関東を基盤とするいなげや<8182>が2019年3月期に30%を超える営業減益になったほか、中国地方を基盤とする天満屋ストア<9846>も2019年2月期、2020年2月期に、それぞれ13%台の営業減益なるなど厳しい環境下にあった。
スーパーバリューの業績は2021年2月期に、コロナ禍による巣ごもり需要などに支えられ一旦黒字化したものの、2022年2月期には巣ごもり需要の反動減に加え、消費者の低価格志向や節約志向が強まったことから売り上げが減少。さらに原材料不足や原材料価格の上昇などが加わり再び赤字に転落。2023年も回復の見通しが立たなかったため、資本増強や将来の発展に向けた体制づくりを狙いにロピア・ホールディングスの傘下に入った。
グループ入り後は、ロピアとのシナジーが見込めるモデル店舗の構築や、青果販売に強いグループ企業とのコラボによる青果テナントの出店をはじめ、精肉、鮮魚の加工センターのロピア施設への集約、ロピアのプライベート商品の仕入れ、不採算店の地位承継(権利や義務を売り手から買い手に移すこと)による店舗譲渡など多くの経営立て直し策に取り組んできた。
だが、モデル店舗の構築では、改装中の店舗休業による売上高の減少や改装に伴う経費の発生などのほか、リニューアルオープン後のセールや、地位継承に伴う閉店セールなどにより売上高や粗利益が減少するなどの状況が発生。
さらに2024年8月末に売却を計画していたSuperValue練馬大泉店(東京都練馬区)の売却が中止となったほか、不採算店の賃貸借契約満了の店舗のうち、複数店舗については閉店から継続運営に変更したことなどから、業績の下方修正を余儀なくされた。
スーパーバリューが見直した中期経営計画によると、初年度の2025年2月期は4期連続の営業赤字となるが、2026年2月期は5期ぶりの営業黒字(3億5200万円)を確保し、翌2027年2月期も6億4000万円の営業利益を見込む。
OICグループは66.6%を保有する筆頭株主
OICグループの2024年2月期の売上高は4126億円で、傘下にはロピアやスーパーバリューをはじめ、食品スーパーのアキダイ(東京都練馬区)、韓国の食品や化粧品の輸入を手がけるREACO(東京都千代田区)、商業施設の管理や食品スーパーマーケットを運営するFirsto(川崎市)などの数多くの企業がある。
スーパーバリューが2024年10月15日に提出した半期の有価証券報告書によると、2024年8月末時点で、OICグループがスーパーバリュー株式の66.6%を保有する筆頭株主となっている。
経営再建に向け、ロピアをはじめとする他のグループ企業との一層のシナジーも見込めそうだが、果たして計画通り5期ぶりの黒字化は実現できるだろうか。
文:M&A Online記者 松本亮一
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10/23 06:35
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