攻勢に転じる「カラオケの鉄人」焼き鳥とうなぎで成長目指す
カラオケや飲食事業、美容事業などを手がける鉄人化ホールディングス<2404>が、攻勢に転じた。
同社はコロナ禍の影響で2020年8月期に営業赤字に転落し、その後赤字が続いていたが、2024年8月期は5期ぶりに黒字に転換できる見込みで、来期以降を見据えて3年ぶりにM&Aを再開し、焼き鳥・うなぎ専門店を経営する鳥竹(東京都渋谷区)を傘下に収めた。
コロナ禍の2021年11月に策定した経営戦略では、「コロナ禍でカラオケや飲食が大きく影響を受けたため、今後美容サロン事業をはじめコロナ禍でも業績に影響を及ぼさない事業ドメインへの展開に取り組む」としていた。
この計画の通り2021年12月には、首都圏でまつ毛・ネイルサロンなど32店舗展開のビアンカグループ(東京都千代田区)6社を子会社化し美容事業を強化しており、今回の飲食事業でのM&Aはこれに次ぐものとなる。
2025年8月期から業績に加算
鳥竹は東京都渋谷区の道玄坂に1店舗「鳥竹総本店」を運営している。創業は1963年で、大串の焼き鳥を特徴としてきた。
鉄人化ホールディングスが公表した資料によると、2024年5月期は売上高4億5172万円(前年度比4.6%減)、営業利益2506万円(同3.3%減)の減収営業減益だった。
2022年5月期に6830万円の営業赤字に陥ったが、翌2023年5月期には2594万円の黒字に転換している。
この鳥竹の業績が、2025年8月期第1四半期から鉄人化ホールディングスの業績に加わることになる。
鉄人化ホールディングスは2020年に、ラーメン店「直久」を展開する直久(東京都中央区)を子会社化しており、飲食事業で両社の相乗効果も見込む。
コロナ禍の影響の少ない美容事業を拡大
また2021年に傘下に収めたビアンカグループの子会社は、UIM(東京都新宿区)、Bianca VENUS(さいたま市)、JEWEL(東京都新宿区)などで、当時の業績はUIMが売上高2億6281万円、営業損益2997万円の赤字、Bianca VENUSが売上高2億2853万円、営業利益3585万円、JEWELが売上高1億2369万円、営業利益586万円だった。
鉄人化ホールディングスは中京地区で「Rich to」ブランドでまつ毛・ネイルサロンを運営しており、美容事業を拡大するため、これら企業の買収に踏み切った。
第3四半期に営業黒字を達成
鉄人化ホールディングスが2024年7月に発表した2024年8月期第3四半期決算によると、カラオケルーム事業はコロナ禍の影響で二次会や深夜時間帯の需要減少が続いているものの、アニメやゲ―ムなどのコンテンツとのコラボ企画が好調に推移している。
飲食事業も外食需要がコロナ禍前程度まで回復したところにインバウンド(訪日観光客)需要が加わり、増収増益基調にある。
コロナ禍の影響の少なかった美容事業は、引続き需要はあるものの、テナント賃料の上昇などにより利益は減少気味だ。
この結果、鉄人化ホールディングスの2024年8月期第3四半期は、営業利益が6300万円の黒字となっており、通期見通しの5期ぶりの営業黒字(7200万円)は達成できそうな情勢にある。
業績の回復とともに、鳥竹に次ぐM&Aも活発化するだろうか。
文:M&A Online記者 松本亮一
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10/08 06:25
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