「いきなり!ステーキ」のペッパーフードが復活か 事業継続の疑義が解消

低価格のステーキを提供する「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービス<3053>が長いトンネルから、ようやく抜け出せそうだ。

同社は2024年12月期第2四半期に、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象や状況は解消したとして「継続企業の前提に関する注記」の記載を取りやめた。

新型コロナの影響で資金繰りに懸念が生じ、2020年12月期第1四半期から同注記を記載していたが、不採算店舗の閉店や本社費用の削減、販売価格の改定などを行った結果「資金水準は当面、懸念が無い水準を確保できると判断した」という。

5期連続の営業赤字

継続企業の前提に関する注記は、連続赤字などにより事業の継続に問題が生じた場合に、財務諸表などに注記することが義務付けられている。

ペッパーフードは2019年に「いきなり!ステーキ」の店舗同士の競合などの影響で営業赤字に陥り、2020年からは新型コロナの影響が重なり、2023年12月期まで5期連続の営業赤字が続いている。

この間、固定費の削減や販売費の抑制、主力商品の訴求強化など、さまざまな取り組みを展開し、2020年6月には経営のもう一つの柱であったペッパーランチ事業を売却するなどの大規模な対策を講じたが、営業赤字から抜け出すことはできなかった。

【関連記事はこちら】
2期連続最終赤字のペッパーフードサービスが「ペッパーランチ」売却で行き着く先は
ペッパーフードサービス<3053>、「ペッパーランチ」事業を投資ファンドのJ-STARに85億円で譲渡

「いきなり!ステーキ」事業の利益が大幅に改善

同社は「継続企業の前提に関する注記」の記載を取りやめた2024年12月期第2四半期に、通期の業績予想を上方修正した。

売上高は1億2800万円多い139億8300万円(前年度比4.1%減)に、営業利益は7000万円多い8900万円(前年度は4億9000万円の赤字)にそれぞれ引き上げた。営業利益が黒字化するのは2018年12月期以来となる。

2024年12月期は当初から営業利益の黒字転換を見込んでいたが、第2四半期に主力の「いきなり!ステーキ」事業のセグメント利益が、前年同期比64.9%増と大幅に改善したほか、「こだわりとんかつ かつき亭」や「炭焼きステーキくに」などのレストラン事業でもセグメント利益が黒字転換したことから、本業の儲けを示す営業利益が上振れした。

営業利益以外の利益も同様の状況で、経常利益は200万円から1億800万円に、当期損益は7400万円の赤字から3100万円の黒字となる。第3四半期以降もこうした状況が続くと見て、資金繰りに懸念はないと判断した。

業績が好転しているペッパーフードサービスでは今後の展開について「新業態の出店や海外展開を推し進める」としている。外食産業では新業態の開発にM&Aの手法を使うことは少なくない。ペッパーランチ事業を手放した同社だが、次は買い手に回る可能性もありそうだ。

ペッパーフードサービスの業績推移

2024/12は予想、2025/12は計画

文:M&A Online記者 松本亮一

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

ジャンルで探す