赤字続きの「ライトオン」ワールド傘下で再建へ、立て直しの中身とは?

ジーンズなどのカジュアル衣料を手がけるライトオン<7445>が、レディース、メンズ、キッズなど幅広くアパレル事業を展開するワールド<3612>の傘下で再建を目指すことになった。

ライトオンは2023年8月期に営業赤字に転落し、2024年8月期も大きな営業赤字に陥ったことから、ワールドによる人材や販売、商品開発などの面で支援を受け、経営を立て直すことにした。

ただ、効果はすぐには現れず、再建初年度の2025年8月期も赤字が続き、黒字化のめどは立ちにくい状況だ。

同社がワールド傘下入りと同時に発表した2025年8月期から2029年8月期までの5カ年の中期経営計画では、3年後の2027年8月期にようやく黒字化し、最終年の2029年8月期に15億円の営業利益を目指すという。

ライトオンはどのような対策で、この長期戦を乗り切ろうとしているのだろうか。

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規模は縮小しても利益を出せる体制に

ライトオンの業績が悪化したのは、2017年8月期にまで遡る。前年度に増収営業増益を達成しているが、翌年から8期連続の減収となり、営業損益はこの間5回の赤字(同)に陥った。

2025年8月期も減収、営業赤字を見込んでいるため、予想通りであれば、9期連続の減収、営業損益は9年間で6回の赤字となる。

同社ではこの結果に対し「意志決定プロセスの機能低下、環境変化への対応力の不足、利益意識の欠如」を要因として挙げる。

こうした状況分析のもとに策定した中期経営計画では、2029年8月期の数字しか公表していないが、グラフで計画の推移を示しており、それによると、営業損益が黒字化するのは2027年8月期になる見込み。

一方、売上高は減少傾向が続くとみており、2029年8月期は2024年8月期にと比べて134億円減少する。率にすると34.5%もの減収となる。

これは中期経営計画の初めの2年間は「不採算店舗の大規模退店、人員削減などの徹底的な販管費削減と商品構成の大幅な見直しを実施する」との方針によるもので、売上規模は縮小するものの、営業利益を出せる事業構造に転換する計画だ。

ワールドのアウトレット販路やファミリーセールを活用

ワールドの支援については、まずは2024年11月29日に開催予定のライトオンの株主総会で、ワールドの大峯伊索常務執行役員がライトオンの社長執行役員に就任し、ワールドが指名する大峯氏を含めた2人の取締役と2人の監査役を選任し、新しい経営体制を構築する。

そのうえでワールドのリソースを活用し、競争力のあるPB(プライベートブランド)の開発やNB(ナショナルブランド)数の絞り込みを行うほか、ワールドのアウトレット販路やファミリーセールを活用し、店頭でのセールを抑制するなどの対策を行うとしている。

ワールドは2024年12月上旬に、ライトオンを子会社化するためのTOB(株式公開買い付け)を始める予定で、両社が親子として経営再建に取り組むのは2025年に入ってからとなる。

店舗数の大幅削減、新PBの投入、アウトレット販売など、これまでとは状況が大きく変わるライトオンの挑戦は、そこから始まる。

文:M&A Online記者 松本亮一

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