ビックカメラの傘下の「ソフマップ」M&Aでリユースなどの事業を倍増へ
ビックカメラ<3048>傘下で、パソコンやソフト、デジタル家電などの販売(新品・中古)や買取事業を展開するソフマップ(東京都千代田区)は、M&Aを活用してリユースなどの事業を拡充する。
ビックカメラが2024年10月18日に公表した2025年8月期から2029年8月期までの5年間を計画期間とする「ビックカメラグループ中期経営計画 ~ Vision 2029 ~」で明らかにした。
それによるとソフマップは2029年8月期に946億円(2024年8月期比58.3%増)の売上高を目指し、このうち700億円(売上高構成比75%)をデジタル機器などの買取りや下取りなどを行うリユース事業と、デジタル機器の設定や修理などを行うサポート事業で賄う計画だ。
2024年8月期の同事業の売上高は393億円(同64%)だったため、5年間で1.8倍ほどに拡大することになる。
ソフマップはどのようなM&Aを繰り出すのだろうか。
2029年8月までにリユース店舗を100店舗に
ソフマップは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器の販売を中心に、リユース事業とサポート事業をサーキュラーエコノミー事業として展開している。
個人の持ち物を登録することで最新の買取価格を表示できる「持ち物帳」機能を備えた買取りアプリ「ラクウル」を2018年に投入し、デジタル機器やブランド品、楽器などのさまざまな商品の買取りサービスを、関東地区を中心に関西や東海、九州などの23店舗で行っている。
また、2021年に子会社化した、じゃんぱら(東京都千代田区)でも、スマートフォンやデジタル家電の買取りを行っており、同事業を手がけるじゃんぱらの店舗は関東を中心に54店舗に達する。
中期経営計画では、M&Aによるリユース事業の拡大とともに、現在のソフマップとじゃんぱらを合わせた77店舗を、2029年8月期までに100店舗に増やす計画だ。
さらに、ソフマップと並ぶビックカメラの主要子会社である家電量販店のコジマ<7513>や、ビックカメラ自体でも「ラクウル」の会員数を増やすとともに、各社が発行するポイントカードを登録すれば、購入した商品が「持ち物帳」に自動的に登録される機能を活用して、購入、売却、買い替えという流れを促進する。
目標達成に向け企業買収を加速か
M&Aについてはすでに、じゃんぱらの子会社化に次いで2023年12月にOA機器や複合機を中心とする業務用機器の買取り、販売、保守、回収などのリユース事業を展開しているエーワン(埼玉県八潮市)を傘下に収めた。
オフィス機器という新たなリユース商材を取り扱うことで、リユース市場でのシェアアップが見込めるほか、エーワンが強みとする理化学機器や測量機器などの専門性の高いリユース商材を取り扱うことで、仕入ルートの拡充でもシナジーがあると判断した。
リユース市場は、物価の上昇や拡大するインバウンド(訪日観光客)需要などを背景に大きな成長が見込まれており、事業強化に乗り出す企業が少なくない。
ソフマップでは、こうした需要を取り込み、2029年8月期の売上高946億円の達成に向け、リユース分野での企業買収を加速させることになりそうだ。
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グループ全体では1兆円越えに
「ビックカメラグループ中期経営計画 ~ Vision 2029 ~」によると、ビックカメラの2029年8月期は、売上高5300億円(2024年8月期比17.6%増)、営業利益160億円(同2.53倍)の見込み。
ビックカメラ、コジマ、ソフマップなどを合わせたグループ全体では、2029年8月期に売上高1兆1000億円(同11.9%増)、営業利益400億円(同64.6%増)を目指すとしている。
文:M&A Online記者 松本亮一
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