食品卸の「国分」シンガポール社を買収し海外事業を拡大

食品や酒類などの卸売事業を展開する国分グループ本社(東京都中央区)は、シンガポールで食品卸売事業を手がける子会社のKOKUBU Commonwealth Tradingを通じて、同国の食品卸売会社San Sesan Globalを子会社化した。

国分グループは、2025年12月期を最終年とする5カ年の長期経営計画で海外事業を基幹事業とする目標を掲げるとともに、シンガポールをアセアン(東南アジア諸国連合)事業の中核国と位置付け、事業拡大の方針を打ち出している。

San Sesan Globalを傘下に収めたことで、シンガポールでの卸売事業の拡充をはじめ、国内外のグループ各社との連携に取り組み、海外事業の基幹事業化を加速する。

食のネットワークを強化

San Sesan Globalは2003年の設立で、市場調査とデータに基づき市場に適したブランドを選定し、小売業者と連携して商品を調達している。

加工食品や菓子などで21ブランドを展開しており、スーパーのほか、コンビニやガソリンスタンド、オンライン食料品店、ドラッグストア、書籍、文房具店などとも取引がある。

KOKUBU Commonwealth Tradingが80%の株式を取得しており、残り20%は個人株主が保有している。近く国分グループから取締役を派遣する予定。

シンガポールではアセアン統括会社のKOKUBU SINGAPORE、食品卸売会社のKOKUBU Commonwealth Trading、低温物流会社のCommonwealth KOKUBU Logisticsが事業を展開しており、これら企業との連携を深め、アセアン地域と日本をつなぐ食のネットワークを強化する。

3期連続の増収増益

国分は1712年創業の300年を超える老舗で、1880年に創業当時に行っていた醤油醸造業を廃止し、現在の事業につながる食品販売を主とする卸売業を始めた。

同社が公表している沿革によると、M&Aについては2012年にベトナムのHuong Thuy Manufacture Service Trading Corporationをグループ化、2013年に中国の潍坊三慧物流有限公司(山東省)を、2015年に中国の上海峰二食品有限公司(上海市)を、2017年にマレーシアのFocal Marketing Sdn.Bhd.をグループ化。

さらに2018年にりゅうせき低温物流(沖縄県浦添市)を、2019年にワインインポーターのヌーヴェル・セレクション(東京都豊島区)をそれぞれ子会社化した。今回のSan Sesan Globalは2012年以降では7社目となる。

業績は好調で、2023年12月期の売上高は2 兆684 億1700万円(前年度比7.0%増)と初めて2兆円を突破した。部門別では食品が1兆3525億9600万円(同8.0%増)、酒類が6241億2100万円(同4.0%増)、その他が916億9900万円(同13.8%増)で、いずれも前年実績を上回った。

経常利益は242億300万円(同33.6%増)と大幅な増益となり、3期連続の増収経常増益を達成している。

国分グループ本社の沿革と主なM&A

文:M&A Online記者 松本亮一

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