丸亀製麺の「トリドール」海外展開にM&A効果がくっきり

セルフ式うどんのチェーン店「丸亀製麺」を展開するトリドールホールディングス<3397>の海外展開に、M&Aによる効果がくっきりと表れてきた。

2023年7月に子会社化したピザ料理などのレストラン事業を展開する英国のFulham(ロンドン)が2024年3月期第2四半期から連結対象となり、同期の「海外事業」の売上高が過去最高の886億3700万円に達した。伸び率は前期比44.2%増で、全社の伸び(23.2%増)を大きく上回った。

また、2017年12月に子会社化した背脂系濃厚とんこつラーメン専門店「ずんどう屋」を運営するZUND(大阪市)が、2024年4月に中国・上海でとんこつラーメンの「ラー麺ずんどう屋」の1 号店をオープン。今後一気に店舗数を200店超にまで拡大するという。

トリドールは2028年3月期を最終年とする中期経営計画で、2025年3月期から2027年3月期までの3年間に国内外で出店攻勢をかけ、多国籍展開を加速する方針を打ち出しているほか、M&Aによる新たな業態の獲得を計画しており、2028年3月期までの4年間で1000億円を投じ、欧米、中華圏、東南アジアを中心に業態を拡充するとしている。

今後、M&Aを伴う海外展開に拍車がかかることになりそうだ。

グローバル展開を加速

海外事業では、Fulham単独の売上高は公表していないが、子会社化前の2022年3月期の売上高が134億8200万円だったことを踏まえると、2024年3月期に増収となった約270億円の半分ほどをFulhamが稼ぎ出したことが想像できる。

このほか海外事業では、2018年に子会社化したスパイシーヌードル業態のTam Jaiが、アジアで14店舗増え、Marugame Udonも台湾で6店舗増加した。米国では既存店の客数増加や新店が好調に推移し、英国でも増収となった。

一方、中国・上海にオープンした「ラー麺ずんどう屋」は、外食産業に関する経験豊かな人材を有する現地企業の上海睿筧をローカルバディ(同社の経営方針に共感する企業)とし、フランチャイズで展開する。2024年8月9日には中国・上海に2号店をオープンする。

「ラー麺ずんどう屋」は、現在国内に88店舗を展開しているが、今回の中国・上海での出店を手始めにグローバルでの展開を加速させるとしている。

全部門で過去最高を更新

トリドールの2024年3月期の売上高は2319億5200万円(前年度比23.2%増)で、過去最高を更新した。

このうち「丸亀製麺」部門の売上高は1148億5600万円(同12.5%増)、コナズ珈琲や、ずんどう屋などの「国内その他」部門の売上高は284億6000万円(同15.0%増)で、「海外事業」を含め全部門で過去最高となった。

こうした増収を背景に3部門とも増益となっており、全社では営業利益が116億4700万円(同56.0%増)と大きな伸びとなった。

2027年3月期は売上高3625億円、営業利益は265億円を、2028年3月期は売上高4200億円、営業利益380億円の目標を掲げている。

トリドールホールディングスの業績と店舗数の推移

2027年3月期、2028年3月期は予想

文:M&A Online記者 松本亮一

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