能登半島地震でも“一時避難所”としての重要な役割を果たしたゴルフ場 地震発生後の話を聞いた【9月1日は防災の日】

2024年1月1日、能登半島地震が発生し多くの被害をもたらしました。そのとき、現場のゴルフ場ではどのようなことが起こっていたのか、小松カントリークラブに話を聞きました。

メンバーからの電話で休場日のゴルフ場が一時避難所に

 2024年の元日に起きた能登半島地震、その被害は甚大で津波や地割れなどの映像が連日報道されました。もちろん、震源となった北陸エリアにある多くのゴルフ場でも被害が出たそうです。

 地震当日の状況を石川県にある小松カントリークラブ・北芳光部長に聞きました。

広大な駐車場、トイレや風呂もあるゴルフ場は一時避難所としてありがたい施設となる

広大な駐車場、トイレや風呂もあるゴルフ場は一時避難所としてありがたい施設となる

「地震の日、私の携帯に海沿いに住んでいるメンバーさんから『逃げていいか、コースに避難していいか』という電話が入ってきました。テレビでは『津波が来るから今すぐ逃げてください』とアナウンサーが叫んでいるし、東日本大震災の時の映像も見ているから怖かったのだと思います」

 普段からゴルフ場に出入りしているメンバーは海から離れていて丘の上にある小松CCが安全な場所であると判断しすぐに行動を起こしたようです。

 大晦日と元日は休場日になっていたこともあり、「どうぞ使ってください」と北芳光部長はメンバーに伝えたそうです。その時には「逃げてきても何人かだろうな」と思っていたそうです。

「ところがある人から『もう入れない、道路にまで車があふれて並んでいる』という連絡がきて、相当数の人が避難していることがわかりました。トイレなども使用できるようにと思い、社長に連絡してクラブハウスを開放することにしました。初めは社員用のトイレのみ開放すればいいと思っていましたが、多くの人がきていたので全て開放しました」

 北部長自身もゴルフ場へ向かい状況を確認。小松市の震度は5強、クラブハウスの防火扉が閉まっていたのを見て相当の揺れがあったと認識したそうです。

 開放したクラブハウスはメンバーの方と協力しながら管理を行い、避難者の受け入れを行ったそうです。翌日にはほとんどの避難者が家に戻り、小松CCは一時避難所の役割を終えました。

地震後も影響は甚大

 地震後の予約の状況についても聞きました。元々、法人関連の大型コンペ予約も多い小松CCなので、2年前から予約を受け付けているコンペも数多くあったそうです。そのような予約は災害が起きるとすぐにキャンセルになったといいます。

「1月の震災で一気に予約がキャンセルになりました。そういうこともあり2月3月は集客のための営業をかなり行いました。その甲斐もあって4月5月には回復しました」

 揺れが大きかった地域では営業再開の目途が立っていないコースもあります。コース内やクラブハウスへのダメージに加え、海に近いコースでは液状化現象といったことも起きているそうです。

 北陸エリアのゴルフ場のホームページを見ると営業再開の時期が記載されているコースもありますが、その時期が2025年になっていることからも被害の大きさが伝わってきます。

 復興に向けて動きはすでに出てきています。震災後の2月12日には石川県出身の川岸良兼プロが中心となり千葉県のマグレガーカントリークラブで「復興支援チャリティプロアマゴルフ会」が開催されました。

 取材した小松CCカントリークラブではPGAシニアツアーのコマツオープンが今年も9月5日から開催されます。

「今年のコマツオープンは『がんばろう能登』というテーマのもと、能登のためにチャリティ企画を考えています」

 今後も予想される大災害、普段はゴルフをする人しか入ることのないゴルフ場も、有事の際には多く地域住民を救う重要な存在になりそうです。

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