購入率上昇の女性ゴルファーは「予算1000万円」なんて当たり前!? 売れてる高額会員権の世代別傾向とは?

パソコンやスマホから簡単にプレー予約できる時代でも、ある一部のゴルフ会員権は依然需要が高く、高値で売買されているといいます。では、高値で取引されるゴルフ会員権は、どのような人が購入しているのでしょうか。世代別購入の傾向を専門家に聞いてみました。

購入率急上昇の40~50代女性ゴルファーはアクセス重視

 いわゆる“超名門”と呼ばれるゴルフ場でないかぎりは、パソコンやスマホから簡単にプレー予約ができるようになった昨今。

 にもかかわらず、ある一部のゴルフ会員権は相変わらず需要が高く、高値で取引されることが多いといいます。

 それではいったいどういう人が、どういった思いを抱いてゴルフ会員権を購入しているのでしょうか。四半世紀に渡りゴルフ会員権を専門に扱ってきた加賀屋ゴルフ代表の前田信吾さんに、このあたりの事情を聞いてみました。

車でも電車でも行ける都心から近い府中CC(東京都) 写真提供:加賀屋ゴルフ

車でも電車でも行ける都心から近い府中CC(東京都) 写真提供:加賀屋ゴルフ

「時代の変化とともに増加傾向にあるのが女性ゴルファーですね。弊社の場合、年代としては40~50代の方が多いです。独身の方もいらっしゃいますし、子育てが一段落されて自分の時間を持てるようになったという方もいらっしゃいます」と、前田さん。

 いずれにしても経済的にも精神的にも、かなり余裕のある人……ということでしょうか。

「そうですね。価格的には『1000万円ぐらいまでならOK!』という、かなり太っ腹な方が増えている傾向にあるように思います。弊社としては、本当にありがたいかぎりですが(笑)」

 前田さんのよると、高額なゴルフ会員権を購入される女性ゴルファーには、ゴルフ場に求める、ある共通の条件があるそうです。

「ゴルフ会員権を検討される際にどういったゴルフ場を希望されるのかを伺うと、よく耳にするのが『さっと行って、さっと帰れるゴルフ場がいいんです!』というフレーズ。多少高くてもいいから、都心から近くてアクセスのよいゴルフ場を購入条件として挙げられる方が圧倒的に多いですね」

 精神的にも経済的にも自立している大人の女性は、貴重な休日を終日ゴルフだけで終わらせるのではなく、例えばプレー後は家族や友人と過ごしたり、また自分磨きも楽しんだり……と、ゴルフ同様そのほかの時間も大切にしつつ、一日を目一杯充実させたいと考えているようです。

 そういった女性ゴルファーの熱い思いが“アクセス至便なゴルフ場なら予算は1000万円程度までOK!”という、鷹揚(おうよう)な方向に向かわせているのかもしれません。

自由な雰囲気&練習環境に注目する30~40代アスリートゴルファー

 コロナ以降、さまざまなコースで若い世代のゴルファーを多く見かけるようになりました。

「そうですね。弊社にも40代ぐらいの比較的若い世代の方が会員権を求めにいらっしゃる機会が増えてきました」と、前田さん。

メンバー専用のアプローチ&パター練習グリーンがある長太郎CC(千葉県)。250ヤードの屋根付きドライビングレンジも併設 写真提供:加賀屋ゴルフ

メンバー専用のアプローチ&パター練習グリーンがある長太郎CC(千葉県)。250ヤードの屋根付きドライビングレンジも併設 写真提供:加賀屋ゴルフ

 若い世代のゴルファーはメンバーライフにどういったことを求めているのでしょうか?

「『自由な雰囲気の会員制クラブを希望しています』という方がとても多いですね。会員制クラブは伝統や格式を重んじることが多いですし、入会審査自体に厳しい条件を設けているゴルフ場もあります。若い世代のゴルファーは、そのあたりを少し窮屈に感じることがあるのかもしれませんね」

 そしてもう一つ。「“練習環境の充実”を条件に挙げられる方が実に多い」と前田さんはいいます。

「僕自身も“練習環境の充実”は譲れないところだと思っています。メンバーライフが始まると、コースに出る回数自体が増えるのでゴルフは確実にうまくなりますが、プレー回数だけ重ねることが上達への近道ではないんですよね」

「やはり大切なのは、練習環境だと僕も思います。ゴルフはアプローチやパターの技術がスコアに直結しますから。アプローチやパターの腕を磨くなら、環境の整ったホームコースでじっくり練習するのが一番です」

「丸一日いられるような練習環境が整ったゴルフ場なら、練習だけでコースに出ない日があってもいいわけです。時間や周りを気にせず、自分が納得できるまでホームコースでとことん練習できる! これはメンバーならではの贅沢な時間の使い方だと思いますよ」

 ゴルフの上達を目標に掲げる若い世代のアスリートゴルファーがゴルフ会員権を求める場合、クラブライフに欠かせない条件の一つとして“練習環境の充実”を上げるのは、確かに理に適っているようです。

買い替え&買い増しの熟年ゴルファーはホスピタリティー重視

 会員権を購入する層で一番多いのが熟年世代のゴルファー。もちろん、定年退職を機に初めてゴルフ会員権の購入を考え始める人もいますが、実際には「この世代は買い替えや2つ目3つ目の買い増しに訪れる人も多い」と、前田さん。

「ゴルフ会員権を持つと目に見えるメリットがたくさんあります。例えば人気コースであっても予約が取りやすくなったり、ビジターより安いメンバー料金で回ることができます。またゴルフを通して気の合う新しい仲間ができますし、ゴルフ場主催の競技会にもチャレンジできます」

「まさに日本のハワイです!」と前田氏が絶賛する館山CC。自販機やハウス内で購入できるドリンク類(アルコールを除く)もほとんどが160円という良心的な価格  写真提供:加賀屋ゴルフ

「まさに日本のハワイです!」と前田氏が絶賛する館山CC。自販機やハウス内で購入できるドリンク類(アルコールを除く)もほとんどが160円という良心的な価格  写真提供:加賀屋ゴルフ

「でもね、実際メンバーライフを経験してみると、むしろ目には見えないものの価値といいますか、何ものにも代えがたい充足感のような心地よさを感じるものなんです」

「おそらく、このような満ち足りた気分を経験された方がまた違った充足感を求めて買い替えたり、また2つ目3つ目のゴルフ会員権をお求めになるのではないかと思います」

 では、こういった人たちは、ゴルフ場のどういったところに重点を置いてゴルフ場を選ぶのでしょか?

「ズバリ、食事です!(笑)」と、前田さん。

「意外に思われるかもしれませんが、商談の際にご希望を伺うと『やっぱり食事のおいしいゴルフ場がいいよね』という話になります。初めてゴルフ会員権を購入される方は『食事のおいしいゴルフ場を希望します!』なんて、まずおっしゃらないです」

「例えば、買い替えや複数保有する方に人気の八王子カントリークラブ(東京都)は、食事の際にメンバーさん一人ひとりの気持ちをくんでくださるゴルフ場として有名です」

「提供する味の濃さや薄さなど、好みを伝えるときちんと笑顔で対応してくださいます。さらにスタッフがメンバーさんの好みを覚えていてくださる場合もあるようですよ。こういう細かい心遣いに触れると『メンバー一人ひとりを大事にしているなぁ』と感じますよね」

 前田さんのよると、千葉県にある館山カントリークラブの食事もリーズナブルでおいしいと評判が高いそうで、買い替え&複数所有派に人気のなのだとか。

「ゴルフ場の昼時はレストランスタッフにとって、まさに多忙を極める時間帯です。にもかかわらず、味付けの好みはもちろん、ラーメンやパスタの麺の硬さのような細かい希望にも快く対応してくださるようですよ」

「ゴルフをしに行くのに“食事を重視!?”と驚かれる方もいらっしゃるようですが、こういったゴルフ以外の部分にもホスピタリティーが感じられるかどうかが、ゴルフクラブを選ぶ際のひとつの目安になるのではないかと思います」

 それにしても各世代、メンバーライフに求める理想が各々異なるようです。

「そうですね。でも、どんな世代にも共通していえる大事な要素がもうひとつあります。それは『気持ちよく家に帰って来られるか?』ということなんです」と前田さん。

「プレーを終えた帰り道、『今日も楽しかった!また行きたい!』と純粋に思えるかどうか。実にシンプルですが、そんなふうに思えたら最高ですよね。そんなゴルフ場との出合いが、ゴルフライフをより豊かにしてくれるものだと僕は思っています」

【監修】加賀屋ゴルフ代表 前田信吾さん

ゴルフ会員権取引を行う加賀屋ゴルフ代表取締役。ここ10年は、2日に1回の割合でラウンドを楽しむゴルフの達人(2023年は年間219回!)。独自の視点を生かしたゴルフ場の比較&検討に定評アリ。

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