約2000コースのうち選ばれるのは一握り! プロのトーナメントで使うゴルフ場はどうやって決まるのか?

国内には多くのゴルフ場が存在しますが、その中でプロの試合が開催されるのはほんの一握りです。では、プロのトーナメントで使われるゴルフ場は、どのように決められるのでしょうか。

選手目線、観客目線、スポンサー目線などの観点から選ばれる

 プロのトーナメントで使われるゴルフ場は、全国的にも「名コース」として知られていることが多いです。実際には、どのようにして決定されているのでしょうか。

観覧席が整っているかなども重要な要素 写真:PIXTA

観覧席が整っているかなども重要な要素 写真:PIXTA

 ツアーの試合で使われるコースの決め方について、ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)に聞いてみました。

「プロツアーの試合を開催するにあたっては、『トーナメント基準』と呼ばれる条件を満たす必要があります。ドライビングレンジなど選手が練習できる設備が整っているか、駐車スペースに余裕があるか、コースの総ヤーデージが十分な距離を確保できているかなどが挙げられます。とくに男子ツアーの場合、総ヤーデージは7000ヤード以上あるのが望ましいとされています。観客目線の見ごたえなども含めて、古くから使われているコースはさておき、7000ヤードを切るコースはあまり新規に選ばれることはないでしょう」

「プロのトーナメントは『イベント』としてどれだけ収益を上げられるかも求められているので、観客にとっても満足のいくゴルフ場でなければなりません。また、スポンサー目線では広告収入を得られるか、会場となるゴルフ場にとっては良い宣伝の機会となるかといった点も加味して決められます」

 ちなみに「三井住友VISA太平洋マスターズ」は太平洋クラブ御殿場コース、「中日クラウンズ」は名古屋ゴルフ倶楽部・和合コース、「ダンロップフェニックストーナメント」はフェニックスカントリークラブのように、プロのトーナメントは毎回同じゴルフ場で開催されるイメージを持っている人も多いかもしれません。

 しかし、時には開催地のゴルフ場を変更することもあり、特にスポンサーが変わった際には、そのスポンサーやグループ会社が運営しているゴルフ場などに変更される場合もあります。

 例えば「ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント」は、ゴルフ5を展開するアルペングループが運営するゴルフ場をローテーションで開催地にしており、岐阜県や北海道、千葉県などの傘下コースを転々としています。

開催直前にはコース管理もより徹底される

 では、ゴルフ場側はトーナメントに向けて、どのような準備を行うのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「主管するゴルフ団体によっても異なりますが、プロ仕様でより難易度が高いコースに仕上げる必要があります。なかでもグリーンは刈り込み頻度を上げて草丈を短くしたり、コンパクション(地面の硬さ)を硬くして高速グリーンに仕上げると、戦略性もあって観客も盛り上がるグリーンになります」

「ただし、最近のグリーンは寒地型に属するベント芝やその派生種を使用しているゴルフ場が多いのですが、夏の間に管理をタイトにしすぎると、秋以降の通常営業時に支障をきたす恐れが出てきます。そのため、場合によっては『(難易度アップのための管理は)ほどほどにさせてください』と、断りを入れることもあります」

「試合の際は非常にきれいなコースに仕上がりますが、ゴルフ場の経営コンサルティングをする仕事柄、個人的にはトーナメント仕様に準ずるコンディションを年間を通して維持できれば、常に人気の高いコースになるのではと思います」

 機会があれば、名選手たちがしのぎを削ったコースを訪れて、ラウンドしてみるのも面白いかもしれません。

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