トゥヘル監督の手腕は認めるも…G・ネヴィル氏、外国人指揮官の招へいを疑問視

トゥヘル監督

 元イングランド代表DFガリー・ネヴィル氏が、イングランドサッカー協会(FA)の方針に疑問を投げかけた。16日、イギリスメディア『スカイスポーツ』が伝えている。

 イングランド代表では今夏に行われたEURO2024で準優勝に終わった後、ガレス・サウスゲート元監督が退任。後任探しが難航すると、9月の活動からU-21代表のリー・カーズリー監督が暫定的にチームを率いることとなり、UEFAネーションズリーグ(UNL)の4試合を3勝1敗で終えている。

 それでも、カーズリー暫定体制の契約は11月の活動までとなっていることから、正式指揮官の行方に注目が集まっていたなか、FAは16日にドイツ人指揮官であるトーマス・トゥヘル氏が2025年1月1日からイングランド代表の監督を務めることを発表した。

 これまでドルトムントやパリ・サンジェルマン、チェルシー、バイエルンなどで指揮を執り、チェルシー時代の2020-21シーズンにはチャンピオンズリーグ(CL)制覇を達成しているトゥヘル監督だが、代表監督就任は今回が初めてのことに。また、イングランド代表にとっては、スウェーデン人のスヴェン・ゴラン・エリクソン氏、イタリア人のファビオ・カペッロ氏に続いて史上3人目の外国人指揮官となった。

 イングランド代表の正式指揮官が決定したことを受け、G・ネヴィル氏は「おそらく現時点で世界最高の指揮官を招へいした。その基準に合致しているかということであれば、まさにその通りだ」とトゥヘル監督の手腕は認めていることを強調した一方で、外国人指揮官を招へいしたFAの判断には納得していないことを語った。

「セント・ジョージ・パーク(FAのフットボールセンター)の基準やイングランドのコーチ陣への信頼、そしてここ数年のイングランド代表チームのパフォーマンス向上に合致しているかはわからない」

「男子だけではなく、女子もユースチームもセント・ジョージ・パークはイングランド人コーチがヨーロッパサッカーのトップに返り咲けることを証明する場になるはずだった。これは戦略的な決断というよりも、この2週間で起こったことを踏まえた本能的な決断のように感じる」

 なお、トゥヘル監督のアシスタントコーチにはチェルシー、バイエルン時代に続いてイングランド人のアンソニー・バリー氏が就任することも明らかになっているが、G・ネヴィル氏は「トーマス・トゥヘルはいかなる形であれ、イングランド代表監督に就任するべきではなかったと思う。なぜなら、彼は素晴らしい監督であるのに、記者会見では難しい質問を受けることになるだろうからね」と同監督にはより適した環境で仕事をするべきだとの考えを明かした。

「私を含め、この国の誰もが彼の成功を祈り、私たちが優勝をしてトロフィーを獲得できることを願っているけど、イングランド代表監督の招へいに関してはFAに答えるべき深刻な問題があると思う」

トーマス・トゥヘルが他のイングランド人コーチの誰よりも優れていることを認めることは私たち自身を傷つけていると思う。イングランド人の監督については私たちは行き詰まってしまっている。サッカーチームの指揮に関して、イングランド人コーチはヨーロッパで最も尊敬されていない大国の一つになってしまっている」

「スペインやドイツ、イタリア、ポルトガルのコーチはプレースタイルや哲学で有名になっている。しかし、私たちはもはやイングランド国民として明確なアイデンティティを持っていない。私たちはスタイルを築くことができていないし、独自のスタイルを築いたコーチもいない状況になってしまっている」

ジャンルで探す