Macbee Planetの千葉知裕代表が語るIPOへの道のりとM&A戦略
ストライク<6196>は11月6日、宮城県仙台市の仙台スタートアップスタジオで事業会社の提携促進を目的にしたイベント「第31回Conference of S venture Lab.」を開催した。仙台市が実施する「Sendai Startup Studio INNOVATOR’S MEETUP」との共催で東北での初開催となった。
当日は「革新を起こし続ける企業に学ぶIPOとM&Aとは」をテーマにしたトークセッションや、東北にゆかりのあるスタートアップによるピッチ、名刺交換会などが行われ、会場は賑わった。オンラインを含め約80人が参加した。
IPOと組織づくりのジレンマ
第一部は、WEB広告を使った集客支援を行うMacbee Planetの千葉知裕代表取締役社長とデロイトトーマツベンチャーサポートの鈴木二功氏の宮城出身の2人が登壇した。Macbee Planetは2020年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場し、その後積極的なM&Aを進め、2024年7月に東証プライム市場へ市場変更した企業で、千葉氏はIPO実現までの道のりと、その後のM&A戦略について語った。
IPO実現までに千葉氏が直面した最大の課題は、組織基盤の構築との両立だった。「IPO実現のために売上・利益の確保を優先すると、必然的に組織づくりが疎かになる。その結果、現場からの報告が滞り、新たな問題を生む」と、当時のジレンマを振り返り、「短期的な業績と長期的な組織基盤構築のバランスが重要」と強調した。
上場後に3社を買収したMacbee Planet。なかなかM&Aに踏み切れない会社も多い中、積極的にM&Aを行う理由について鈴木氏が聞くと、千葉氏は、成長を最優先事項に掲げ、その手段としてM&Aをとらえていると説明。オーガニックで成長するには何が必要で、足りないものを常に考え、M&Aを活用していると語った。
入念な対話と徹底したビジョンの共有
経営統合に際しては、事前に経営者同士が入念な対話と徹底的なビジョンの共有が成功のカギだと明かす。経営方針や将来の想定課題を明確にして、限られた期間でいつまでに課題をクリアにするかを議論したことで、統合後、すぐに役員や現場社員を巻き込み対処できたという。新たな課題にはその都度協議し、認識に違いがないように対話を重ねることで順調に進めることができたと述べた。
今後のM&Aのターゲットについて千葉氏は、広告代理店やマーケティング支援会社で成果報酬型に切り替えられるような会社や、現在外注先にもなっているような広告配信メディアを検討していきたいと明かした。
また、スタートアップ投資のポイントについて聞かれた千葉氏は、“人”を重視しているとし、事業内容より「企業が何を目指し、どういうこと成し遂げたいのか、それに対してどれぐらい真面目に向き合っているのかをしっかり見ている」と熱く語った。
トークセッションの締めくくりとして、鈴木氏は仙台市がシリコンバレーに起業家を派遣するプログラムを実施するなど、スタートアップ育成に力を入れていること、起業家が東京への往来を増やし活動範囲を広げているなど大きな変化を感じていると指摘したうえで、宮城県の起業家へのメッセージを千葉氏に求めた。
千葉氏は仙台市や宮城県、東北大学もスタートアップに前のめりになり、挑戦環境が醸成されつつあるとする一方、起業やIPOをサポートする人材がまだ少ないことを課題に挙げ、自身も陰ながらサポートしていきたいと意気込んだ。また、東京の会社と戦うのではなく、宮城特有の地域性を生かし、グローバルに戦える起業家やビジネスリーダーが増えることで、宮城・東北の企業がさらに発展するだろうと述べた。
スタートアップ3社がピッチ
第二部のピッチでは、教育用ロボットの開発や、教育機関・団体と連携した社会課題のソリューション業務を推進するリビングロボット、レアメタルに依存しない高性能触媒「AZUL触媒」の事業化を進めるAZUL Energy、青森の未利用資源であるりんごの残渣、ホタテ貝をアップサイクルし、エシカルな合成皮革の開発・製造などを行うappcycleの3社がそれぞれの事業の現状を紹介するとともに、将来の計画を説明した。
写真・文:M&A Online記者 髙橋さつき
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11/27 06:30
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