「大和ハウス」東急不動産傘下からリモデリング事業を取得

大和ハウス工業<1925>の子会社である大和ハウスウッドリフォーム(東京都渋谷区)は2025年4月に、東急不動産ホールディングス<3289>傘下の東急Re・デザイン(東京都世田谷区)から、リモデリング(新築住宅のリフォーム)事業を譲り受けるとともに、アフターサービス業務を受託する。

大和ハウスウッドリフォームは、東急Re・デザインが保有していた戸建てリフォーム事業と新築事業を吸収分割で事業継承したTRDホームズ社が前身で、2024年4月に大和ハウスがTRDホームズを子会社化するとともに社名を大和ハウスウッドリフォームに変更した。

大和ハウスは今回の事業譲受でリフォーム事業を一段と拡充する一方、東急Re・デザインは、マンションやビルなどの管理運営を手がける親会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)と親和性のある、オフィスや商業施設、ホテルなどでの⼯事を対象とした請負や企画、設計、施⼯、監理などに注力する。

東急Re・デザインは今回の取り組みで2024年3月時点に手がけていた住宅事業6部門のうち4部門を大和ハウスに譲渡、委託することになる。このため、残りのマンションリフォーム、関西リフォームの事業も今後、譲渡などの対象となる可能性はありそうだ。

良質なサービス提供のために事業を譲渡

東急Re・デザインは、リモデリング事業を譲渡し、アフターサービス業務を委託する理由について「顧客へのより充実かつ良質なサービス提供のため」としている。

また事業譲渡、業務委託を実施する2025年4月以降は、首都圏、関西圏でのマンションリフォームと、ホテルやビル施設の改修などを行うスペースパートナー事業に力を入れるという。

譲渡するリモデリング事業は、東急 Re・デザインが施工した戸建て住宅をリフォームする事業で、現在は首都圏で年間約3000件の工事を行っている。

アフターサービス業務は、東急 Re・デザインが施工した戸建て住宅への定期巡回や、これに伴って発生するリフォームを行っている。

東急Re・デザインは1969年に、東急不動産が販売する住宅のアフターサービス事業が始まりで、2017年に東急コミュニティーと東急ホームズのリフォーム事業を統合した新しい体制で再スタートした。

一方、大和ハウスは2018年に、リフォームや買取再販などを行う事業ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げ、リフォーム事業の拡充に取り組んでおり、東急Re・デザインの戸建てリフォームや新築事業の取得後は、木造住宅を中心としたリフォーム事業の強化を進めていた。

リフォーム分野で大手によるM&Aも

民間の調査会社によると、コロナ禍による需要増の反動で、リフォーム市場は、ここ数年は数%のマイナスに転じるものの、その後は回復するとの見通しがある。

さらに、環境問題への関心の高まりから、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として、既存建物を大規模改修によって価値を高めるリノベーションや、老朽化した建物を新築に近い状態に戻すリフォームなどが注目を集めている。

こうした情勢の中、ホームセンター事業を主力とするアークランズ<9842>が2024年7月に、損保大手のSOMPOホールディングス<8630>傘下で住宅リフォーム事業を手がけるフレッシュハウス(横浜市)を子会社化したのに続き、2024年11月1日には高機能樹脂や住宅事業などを展開する積水化学工業<4204>が、北海道でリフォーム事業を運営するクレアスト(札幌市)を子会社化するなどの事例が生まれている。

大企業を中心にSDGs(持続可能な開発目標)の達成に関心が高まっているだけに、今後もSDGsを意識したM&Aは増えそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

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