不動産事業を一つのセグメントに 日工副社長で、日工興産社長の藤井博氏にM&A戦略を聞いた

アスファルトプラントなどを手がける土木プラントメーカーの日工<6306>は、戸建て住宅事業を展開する西日本不動産(兵庫県川西市)を子会社化した。

2031年3月期を最終年とする2030年ビジョンの達成に向けた成長投資の一環で、子会社でリフォーム事業などを手がける日工興産(兵庫県明石市)を通じて実施した。

どのような将来展望を描いているのか。日工副社長で、日工興産社長の藤井博氏に、戦略をお聞きした。

連結売上高の1割を占める事業に

―西日本不動産は兵庫県川西市を中心に500棟以上の戸建て住宅の販売実績をお持ちです。一方、兵庫県明石市内を中心にリフォームや賃貸の事業を展開されている日工興産は2024年春に、戸建て住宅の建築販売事業に参入されました。西日本不動産のグループ入り後の戸建て事業では、どのような展開をお考えですか。

総合不動産事業会社として、規模を拡大していきたいと思っています。日工興産はリフォーム事業から始まり、不動産賃貸事業に拡げ、さらに自前で戸建て分譲事業を始めました。今回、戸建て住宅で実績のある企業と一緒になったことで、戸建て住宅の営業方法などを学ばせていただくとともに、資金面などで西日本不動産の成長を支援させていただき、両社の事業を拡大する計画です。

-具体的な目標はありますか。

明確な目標を掲げているわけではありませんが、現在、西日本不動産の売上高は6億円ほどですので、これを30億円ぐらいにまで高め、合わせて日工興産の事業も拡大し、トータルで50億円ほどの事業にしたいと考えています。

日工はアスファルトプラントとコンクリートプラントの二つが主力の企業で、2024年3月期は440億円ほどの売り上げがありました。

日工の連結売上高の1割ほどを占め、一つのセグメント(事業部門)になれるくらいの規模にできればと思っています。

―事業拡大の手段として西日本不動産の次のM&Aもお考えですか。

住宅ではない分野のM&Aも機会があればやっていきたいと考えています。例えば、戸建て住宅やリフォームなどと関連がある建築や建設などが候補となります。

―戸建て住宅事業やリフォーム事業を兵庫県内全域に拡大していくとの計画を公表されています。将来はさらに事業エリアの拡大の可能性はあるのでしょうか。

まずは兵庫県の中での存在感をしっかりと高めることに、力を入れたいと思いっています。何かの縁があって、兵庫県以外のところで大きなビジネスチャンスがあれば、やることもあるかもしれませんが、戦略的に日本全国に展開することは考えていません。戦力の分散になりますし、兵庫県の市場と他のエリアの市場では、全く異なるでしょうから、まずは地元、兵庫で足場を固める作戦です。

M&Aの対象はリサイクル機械メーカー

―日工は2030年ビジョンで、2031年3月期に売上高600億円、営業利益60億円の目標を掲げられ、この目指達成に向けてM&Aなどに積極的に取り組んでおられます。どのような状況でしょうか。

日工として考えているM&Aは環境リサイクルの分野です。日工が造っているアスファルトプラントは、道路舗装に使うアスファルト合材を作る機械です。アスファルトはほぼ100パーセント、リサイクルされており、産業廃棄物として捨てられることは日本の場合はほぼありません。

同じようなことを他の素材でもやっていきたいと考えています。産業廃棄物でリサイクルするための機械を作っている企業はM&Aの対象となります。

我々のアスファルトプラントやコンクリートプラントは、粉砕する技術、これを混ぜる技術、さらに原材料を乾燥、加熱する技術で成り立っています。熱をコントロールするところなどには、他社にはない技術力があります。

さまざまな素材をリサイクルする中で、破砕をしたり混ぜたり、あるいは熱を使って分離をしたりすることが考えられますので、こうした技術を活用することを想定しています。

文:M&A Online記者 松本亮一

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