海外アーティスト公演などで好調な「ヒビノ」M&Aで新領域に挑戦

コンサートの音響や映像のシステムなどを提供するヒビノ<2469>が、高機能オフィスチェアの販売や、オフィスのレイアウトサービスを手がけるオフィックス(東京都品川区)を子会社化した。

M&Aを活用することで、これまでの音と映像とは全く異なる新領域に挑戦するとの方針に沿ったもので、2020年以降の主なM&Aでは初めての新領域案件となる。

ヒビノは2026年3月期を最終年とする4カ年の中期経営計画の中で、海外M&Aを活用した世界4極体制(日本、アジア、北米、欧州)を確立するとの計画を打ち出しており、次のM&Aは新領域と海外がキーワードになりそうだ。

ヒビノの2020年以降の主なM&A

より多様な感動を生み出す

オフィックスは、高機能オフィスチェアを主力に、オフィス家具の販売を行っているほか、専門性を備えたチェアコンシェルジュが、チェア選びや理想のデスクワークづくりをサポートするコンサルティングサービスを提供している。

ヒビノは中期経営計画で、多数の事業を保有することで、外部環境の変化に強い経営体制の構築に取り組んでおり、新領域に挑戦し事業領域を拡大することで、事業間の連携によるシナジーの創出を目指すという。

オフィックスの子会社化はこの取り組みの一環で、より多様な感動を生み出すとともに、ヒビノの技術をより広範な社会課題の解決につなげていくとしている。

売上高が過去最高を更新

ヒビノは、音響、映像機器などを販売、施工する販売施工事業、放送局やスタジオ、文化交流施設などの建設を手がける建築音響施工事業、コンサートやイベントなどで音響や映像を提供するコンサート・イベントサービス事業の三つを事業の柱とする。

2024年3月期は、海外アーティストの来日公演や収益性の高いコンサートやイベントが好調に推移したことや、販売施工事業、建築音響施工事業でも収益性が向上したことから、売上高が504億9100万円(前年度比20.4%増)と過去最高を更新し、営業利益も28億1400万円(同2.28倍)と大幅な伸びとなった。

コロナ禍の影響で、コンサートやイベントなどが中止された2021年3月期に40億7300万円の営業赤字に陥った後は、回復傾向にあり、2025年3月期は10.9%の増収、13.7%の営業増益を見込む。

2020年以降に適時開示したM&A案件は、ドイツの大型映像サービス企業AV-Xの子会社化(2022年2月)、ライブ配信機器開発のCerevoの子会社化(2022年年11月)、映像ソリューション事業のエヌジーシーの子会社化(2023年11月)、映像制作サービスのCHホールディングスを子会社化(2024年5月)の4件だった。

オフィックスの子会社化については、適時開示はしていないが、2020年以降では初めての新領域の案件となる。

ヒビノの業績推移

2025/3は予想

文:M&A Online記者 松本亮一

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