中古ブランド品売買の「コメ兵」企業買収を活発化 業界にも広がりが

中古ブランド品売買最大手のコメ兵ホールディングス<2780>が、企業買収を活発化させている。

同社は2024年4月から、わずか半年の間に、中古ブランド品買い取り、販売のEC(電子商取引)サイトを運営するRECLO(東京都品川区)、中古ブランド品の販売、買い取りのアールケイエンタープライズ(横浜市)、中古ブランド品買い取り、卸販売のRs-JAPAN(横浜市)の3社のM&Aに踏み切った。

2025年3月期から2028年3月期までの中期経営計画で、2028年3月期に2024年3月期と比べ売上高を2.09倍の2500億円に、営業利益を2.01倍の150億円に引き上げる計画を掲げており、この目標達成に向けM&Aを活用する作戦なのだ。

中古ブランド品のリユース市場は、国内外で高い成長が見込まれており、同業者によるM&Aも増加傾向にある。

コメ兵ホールディングスはもとより、業界全体でハイペースのM&Aが続く可能性は高そうだ。

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手薄な部分を補う

コメ兵ホールディングスが2024年4月に子会社化したRECLOは、中国最大のECサイト「Tmall(天猫)」などに顧客基盤を持っており、2024年9月25日に子会社化を発表したアールケイエンタープライズは販売、買い取り、質などを行う「ロデオドライブ」を、2024年9月末に発表したRs-JAPANは国内有数の法人オークション「Rs-Auction」をそれぞれ運営している。

中期経営計画では、買い取り、販売のチャネルの拡充(EC、出張、宅配、越境、質など)や、オークション運営の強化などの既存事業の規模拡大をはじめ、酒類や骨董、絵画などの未開拓領域の開拓などに力を入れる方針だ。

コメ兵ホールディングスは、宝石や貴金属、時計、バッグ、衣料、着物、カメラ、楽器など取り扱い分野は幅広いが、3社の子会社化によって得られる、中国での販路や質事業、法人オークションなどは、いずれもコメ兵ホールディングスの手薄な部分を補うことができる。

海外企業も俎上に

リユースへの意識の高まりを背景に、中古ブランド品市場が拡大しており、コメ兵ホールディングスでは2020年に2兆4000億円だった日本のリユース市場が、2025年には3兆5000億円に拡大すると予想する。

この傾向は海外も同様で、同社の試算では2020年に20兆円だった米国のリユース市場は2025年には32兆円に、中国では18兆円だった同市場が2025年には60兆円に達する見込み。

こうした情勢を踏まえ、同社では国内の店舗やエリアの拡大とともに、2024年3月期に10%強だった海外売上高比率を、2028年3月期には15%に高める計画だ。

中期経営計画では、時期は示していないものの、「ブランドリユース売上高世界No.1」を目標に、将来のある時点で売上高5000億円を目指す方針を明らかにしており、この時点での海外売上高比率は30%を予想する。

コメ兵ホールディングスの今後のM&Aについては、国内だけでなく海外企業も俎上に上ってくることになりそうだ。

同業他社にもM&Aの動きが

こうした市場の成長を背景に、中古ブランド品のリユース業界では、コメ兵ホールディングス以外にも、M&Aの動きが広まりつつある。

着物やブランド品を手がけるBuySell Technologies<7685>は、この1年ほどの間に3件のM&Aに踏み切った。

同社は2023年11月に高級ブランド・貴金属リサイクルショップ「ブランドピース」を展開する日創(大阪市)の子会社化を決めたのを皮切りに、2024年1月にはブランド品や貴金属類の買い取りを手がける「むすび」(横浜市)を、2024年8月にはリユース事業の「買取 福ちゃん」などを展開するレクストホールディングス(大阪市)の子会社化を発表した。

中古車や中古デジタル機器のほか、ブランド品などを手がけるオークネット<3964>も2024年2月にBEENOS傘下でブランド品買い取りサイト「ブランディア」を運営するデファクトスタンダード(東京都大田区)の子会社化を決めた。

コメ兵ホールディングスに限らず、中古ブランド品のリユース業界は当分の間、M&Aとのかかわりが増えそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

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