「コマツ」8年ぶりの企業買収 中期経営計画の仕上げ
建設機械や建設車両大手のコマツ<6301>が、8年ぶりに企業買収に踏み切る。同社は2024年10月にマレーシアの建設、鉱山機械の販売会社UMW Komatsu Heavy Equipment(UKHE)を子会社化する。
2025年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画で「建設、鉱山機械事業でM&Aや出資、提携を視野に入れ、重点的にリソースを配分する」としており、今回のM&Aはこの計画の仕上げの案件となる。
2025年3月期は4期ぶりの減収営業減益を見込むが、今回のM&Aによってこの見通しはどのように変動するだろうか。
東南アジアなどでの持続的な成長を
コマツは2018年7月に、マレーシア、シンガポール、ミャンマー、ブルネイ、パプアニューギニアなどの地域で、建設機械や鉱山機械の競争力を強化するため、マレーシアを代表する企業の一つであるUMWグループの傘下のUMW Corporationと共同でUKHEを設立した。
UKHEは、建設機械や鉱山機械の輸入販売や関連サービスを行う子会社の管理業務を行っており、コマツは合弁相手先が保有する74%の全株式を買い取り、UKHEの保有割合を100%にする。
コマツは、これまでUKHE の子会社との間で販売代理店契約を結び、コマツの建設機械や鉱山機械の販売や、関連サービスの提供を行ってきた。
東南アジアやパプアニューギニア地域での建設機械や鉱山機械の持続的な成長を目指すためUKHEの完全子会社化に踏み切ることにした。
UKHEの 2023年12月期の売上高は245億7300万円(前年度比22.5%増)、営業利益25億8200万円(同76.3%増)だった。
今回のM&Aは2016年7月に、3000億円ほどを投じて超大型の露天掘りや坑内掘りの鉱山機械の製造、販売を手がける米国のJoy Globalを買収することを決め、2017年4月に傘下に収めた案件に次ぐものとなる。
避けられるか4期ぶりの減収営業減益
コマツの2025年3月期は鉱山機械や一般建機の需要が減少する見込みで、売上高は前年度より0.1%少ない3兆8610億円、営業利益は販売量の減少や為替の変動、固定費の上昇などで、同8.3%減の5570億円を見込む。
減収営業減益は2021年3月期以来4期ぶりで、増収増益に転じるためには2024年3月期よりも売上高で41億2200万円、営業利益で501億9400万円の上積みが必要となる。
UKHEの業績(売上高245億7300万円、営業利益25億8200万円)が加われば、増収に必要な金額には手が届きそうだが、結果はどうだろうか。
中期経営計画では、成長戦略としてコア事業である建設機械や鉱山機械事業でのM&Aのほかに、イノベーションによる成長の加速を目標に掲げ、鉱山向け無人ダンプトラック運行システムの拡販などに取り組んでおり、2024年2月に同システムの稼働台数が700台を突破している。
文:M&A Online記者 松本亮一
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09/25 06:30
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