オフィス家具大手の「オカムラ」冷凍冷蔵ショーケース事業を譲受 新工場立ち上げにノウハウ活用
オフィス家具大手のオカムラ<7994>は2024年12月に、冷凍冷蔵ショーケースなどの設計、製造を手がける創研工業(長野市)から同事業を譲り受ける。
創研工業のノウハウを取り込み、2025年1月に稼働予定の冷凍冷蔵ショーケースの新工場(長野県須坂市)の立ち上げをスムーズに行い、生産能力や生産効率を高めるのが狙いだ。
冷凍冷蔵ショーケースは、スーパーやドラッグストアなどでリニューアル需要が堅調に推移しており、今後も高水準の需要が継続する見込みのため、創研工業の子会社化を機に同事業の成長を加速する。
他方オカムラは、2026年3月期を最終年とする中期経営計画で、主力のオフィス家具事業で米国市場に本格参入する手法としてM&Aを計画している。
冷凍冷蔵ショーケースの次のターゲットは米国に移ることになりそうだ。
シェアアップに対応した生産体制を早期に構築
オカムラは2022年10月に、冷凍冷蔵ショーケースの工場の新設を決め、工事を進めてきた。
新工場の稼働に伴い冷凍冷蔵ショーケースのシェアを高めるとともに、遠隔監視システムなどの保守サービスの拡充や、内製化率の向上によるコスト削減などに取り組むという。
この新工場立ち上げに創研工業のノウハウを活用することで、シェアアップに対応した生産体制を早期に構築する方針だ。
創研工業は事業の譲り受けが決まる前からオカムラの主要取引先となっており、東京商工リサーチによると同社の2024年3月期の売上高は19億7400万円(前年度比17.9%減)、当期利益は400万円(同89.7%減)で、販売先は99%がオカムラだった。
M&Aで目標上振れも
オカムラは中期経営計画で、戦略投資枠として500億円を計上しており、このうち海外事業では北米、中国、アセアンを重要取り組み市場として、現地のパートナーとの提携や合弁のほかにM&Aによる現地市場に根ざした地産地消型の事業を展開するとしている。
中でも米国では本格的な市場参入のために、合弁事業と並んでM&Aを有力施策と位置付けている。
こうした取り組みを踏まえたうえで、同社では2023年5月に策定した同中期経営計画を2024年5月に見直し、2026年3月期に売上高3000億円以上、営業利益240億円としていた当初の目標を、売上高3250億円以上、営業利益270億円に引き上げた。
直近の2024年3月期の業績が、コスト削減や価格転嫁などによって当初予想を上回ったほか、2025年3月期以降も旺盛な需要を取り込めるとの判断が背景にある。
売上高の内訳は米国でのM&Aを見込むオフィス家具などのオフィス環境事業で1750億円、事業譲受に踏み切る冷凍冷蔵ショーケースなどの商環境事業で1200億円、物流システムやその他の事業で300億円を見込む。
目標数値を3250億円「以上」としていることからも、M&Aなどの戦略投資を実行することで、この数字がさらに上振れすることが予想される。
文:M&A Online記者 松本亮一
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09/20 06:30
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