貨幣処理機のグローリー、「丸亀製麺」などに納入したセルフオーダーシステムで飲食事業を第3の柱に
紙幣硬貨入出金機などの貨幣処理機器大手のグローリー<6457>は、飲食店向けセルフオーダーシステムなどを⼿がけるShowcase Gig(東京都渋谷区)を子会社化する。
Showcase Gigには2021年と2022年に2度出資し関係を深めていたが連携を一層強化し、セルフオーダーシステムをはじめ店舗運用管理や販促支援サービスなどの飲食向け事業を拡大するため、2024年10月11日に株式の99.58%を取得することにした。
2025年3月期から2027年3月期までの3カ年の中期経営計画で、これまでもレジつり銭機などで関わりのあった飲食店向け事業を、金融向け、小売向けに次ぐ事業の第3の柱に育てる方針を掲げており、今回のM&Aはその一環。
2027年3月期には3400億円の売上高を目指しており、このうち飲食向けで410億円(小売向け1600億円、金融向け1100億円、遊技向けやその他290億円)を稼ぎだす計画だ。
同社のセルフオーダーシステムはすでに、うどんチェーンの「丸亀製麺」や焼肉チェーンの「あみやき亭」などが導入している。今後3年間で導入企業の顔ぶれはどこまで広がるだろうか。
M&Aで飲食向け事業を拡大
Showcase Gigは2013年に、国内初のモバイルオーダーサービスとして「O:der(オーダー)」を開発、これまで中小から⼤⼿まで幅広い飲⾷店や⼩売店に同サービスを提供してきた。
現システムは、顧客のスマートフォンや店舗の端末を用いた注文や決済のほか、顧客データの活用による飲食事業のDX(デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)化や集客などに役立てることができる。
グローリーは2020年にセルフ決済機器大手のフランスのアクレレックを子会社化しており、2022年にShowcase Gigのサービスを取り入れた飲食店向け無人注文決済端末KIOSK「FGKシリーズ」をアクレレックと共同開発し、販売に力を入れている。
現在グローリーは、飲食店向け運用管理ソリューションである「TOFREE」や、行動データを用いた販促支援サービスである「BUYZO」を手がけており、これらソリューションやサービスとShowcase Gigのサービスの連携をこれまで以上に拡充する。
中期経営計画最終年は減収減益見込みだが
グローリーは「紙幣硬貨入出金機」や「レジつり銭機」などの小売向け事業と、「紙幣入出金機」や「紙幣両替機」などの金融機関向け事業が経営の2本柱。
2024年7月の新紙幣の発行に伴う需要急増により、2024年3月期は売上高3724億8700万円(前年度比45.5%増)、営業利益512億7600万円(同98.2倍)と大幅な増収営業増益となった。
この反動で中期経営計画最終年の2027年3月期は、同計画前年の2024年3月期よりも売り上げ、利益ともに減少する見込みで、売上高は3400億円(2024年3月期比8.7%減)、営業利益は380億円(同25.8%減)を予想する。
セルフオーダーシステムなどの飲食向け事業は、計画通りに第3の柱に育つことはできるだろうか。
文:M&A Online記者 松本亮一
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10/04 06:25
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