「ボールの値段」はゴルフの上達にほとんど影響がない!? スコアに直結する「ボール選びで一番大切なこと」とは?

一般的に、ゴルフボールは安いもので1ダース1000〜3000円程度で買えますが、なかには7000円以上するものもあります。ビギナーも値段の高いボールを使ったほうがいいのでしょうか。

高額ボールはビギナーでは宝の持ち腐れになる可能性

 ゴルフ用品店に行くと種類や色、価格帯などさまざまなボールが売られており、新品のものもあればゴルフ場から回収後、再度使えるよう洗浄されたロストボールもあります。

高価なボールはなくすのも怖くてなかなか手が出ない… 写真:PIXTA

高価なボールはなくすのも怖くてなかなか手が出ない… 写真:PIXTA

 新品ゴルフボールは1ダースあたり安いもので1000〜3000円程度からありますが、なかには7000円以上するような高級なボールも存在します。「一度は使ってみたい」と思っている人もいるかもしれません。

 本来、このようなボールは中・上級者向けとされていますが、ビギナーが使用する利点はあるのでしょうか。レッスンプロ兼クラフトマンの関浩太郎氏は以下のように話します。

「ゴルフボールは、飛距離を重視している『ディスタンス系』と呼ばれるものと、スピンのかけやすさを重視している『スピン系』の2種類に大きく分かれますが、値段が高いボールはその両方を兼ね備えていることが多いです」

「ティーショットで距離を稼ぐことができるうえ、アイアンではピンのすぐそばに止めるショットも打てるので、ゴルファーにとっては性能に優れた高価なボールを使うに越したことはないでしょう」

「しかし、ビギナーの場合はそもそもボールを遠くまで飛ばせなかったり、スピンもあまりかけられないのが普通です。どれだけ高性能なボールを使ってプレーしたとしても『宝の持ち腐れ』になるだけなので、わざわざ高いボールを使う必要はないと思います」

「一般的な価格帯と上位モデルのボールの違いはいくつか挙げられますが、分かりやすいのはボールの内部構造の違いです。安いボールはコアとカバーの2層構造になっている「2ピースボール」で、製造方法が確立されているので大量生産に向いており、新品でも1ダース1000円で購入できるものがあります」

「高いボールはカバーとコアとの間に「中間層(ミッド)」を挟んだ多層構造になっているのが特徴で、3ピースのものもあれば4ピース、5ピースで構成されているものもあります。ハイパフォーマンスが保証されているのはもちろん、使用する素材が増えるほど材料費や製造コストもかさむため、1ダースあたりの価格も数倍程度に跳ねあがります」

重要なのは価格ではなく「同じボールを使い続ける」こと

 また関氏は、「ビギナーがボールを選ぶうえでの基準は、値段が高いか低いかではない」と話します。

「ビギナーが念頭に置くべきなのは『いかに遠くまで飛ばせるか』『いかに多くのバックスピンをかけられるか』などではなく、『いかに自分が打ちたいと思っている地点にボールを落とせるか』という、距離感を確実にすることです」

「今までは安価なボールを使っていたのにいきなり高額なボールに変えると、打ち方は同じにしていたつもりでも、距離感がまるで違うように感じられるでしょう」

「特にビギナーの頃はターゲットまでの残り距離に応じ、クラブやスイングを適切に使い分けるスキルを身に着けることが不可欠です。そのため、突然別の種類のボールを使おうとすると、せっかく練習で培ってきた距離感が狂って、元に戻ってしまう可能性があります」

「実際、レッスン生の方には『少なくともボールは1年同じものを使うように』と指導しています。性能や値段の高い・低いよりも、今使用しているボールを手なずけることが大切なのです」

 ゴルフに限らず、あらゆる趣味で高価な道具を使っている人を見ると、羨ましいと思う人もいると思います。しかし、まずは基礎を身に着けることが先決です。たとえ安いボールであったとしても、自分が思い描いたとおりのショットを打てるように練習していきましょう。

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