ゴルファー永遠の課題“ドライバーのスライス”が直らない理由 プロ「そもそもゴルフクラブって…」意外と知られていない特性とは?

14本あるゴルフクラブの中でドライバーは特にスライスが大きくなりがちですが、なぜなのでしょうか。打ち方が間違っているのでしょうか?

そもそもゴルフクラブは特性上スライスしやすい

 ビギナーの頃は、極端なスライスが出て悩んでしまう人が少なくありません。体が早く開かないように注意したり、インサイドアウトのスイングにしようとしたり、いろいろと試してみることでしょう。

スライスはゴルファーの悩みの種 写真:PIXTA

スライスはゴルファーの悩みの種 写真:PIXTA

 また、アイアンは真っすぐに近いボールが打てるのに、ドライバーだけがスライスしてしまうという人も多いです。そしてドライバーを真っすぐ打とうとスイングを調整しているうちに、今度はアイアンで左に大きく曲がってしまうチーピンなどが出始めて、どうしたらいいのかわからなくなってしまいます。

 スライスが出やすいことについて、現役のシニアツアープロでゴルフスクールも経営している梶川武志プロに聞いてみました。

「全てのゴルファーに認識してほしいのは、そもそもゴルフクラブでボールを打つことには、スライスがつきものということです。それはゴルフクラブが持っている特性が原因です」

「テニスラケットや野球のバットはシャフトと打つべき芯が一直線上に位置していますが、ゴルフクラブの場合は一直線上にありません。つまり、クラブヘッドの重心がシャフトの軸からズレた構造になっています」

「ゴルフスイングはシャフトの傾きが描くスイングプレーン(スイング軌道が作る仮想の平面)に比べてヘッドの重心が外側にくるので、ヘッドの先端が遅れやすくなり、フェースが開きやすくなります。そのため、スライスが出やすくなるのです。特にドライバーの場合、アイアンに比べてシャフトは長くヘッドも大きいので、遠心力でフェースがより開きやすくなります」

「スライスが起きないようにするためには、適切なフェースターンをして、ヘッドの重心がシャフトの動きに遅れないようにしなければなりません。ただし、最近はドライバーの改良が進んでいて、重心位置を調整し、フェースが開きにくい構造にしたクラブもたくさん出てきているので、スライスの出やすいビギナーはこのようなクラブを選ぶのもいいでしょう」

フェースターンができているか確認しよう

 ドライバーでスライスが出やすい人はスイングを改善しようとしますが、スライスを減らすにはどんな点に注意したらいいのでしょうか。梶川プロは以下のように話します。

「ドライバーでスライスが出てしまう人は、いろいろな情報を雑誌やネットで調べて、スイングを調整しようとします。これ自体は間違ってはいませんが、情報が多くなるほど迷ってしまい、どうしたらいいか分からなくなります」

「まず、ドライバーはスライスが最も出やすいクラブ、という認識を持つことが大切です。そのうえで、ドライバーのハーフショットで真っすぐに飛んでいるのか、スライスが出るのかを確認してください」

「ハーフショットでもスライスが出るようなら、スイングそのものより、フェースターンができていない可能性があります。その場合、クラブの先端を少し早めに動かすという意識を持ってスイングして、ハーフショットで真っすぐなボールが出るように調整してみてください」

「真っすぐに打てるのを確認したのち、フルスイングにするとスライスが出始める人は、スエー(スイング中、体の軸が大きく左右に動いてしまうこと)をしていたり体の開きが早すぎたり、打ち遅れの可能性があります。スイングの改善を考えてみてください」

 ゴルフクラブの特性上、そもそもスライスは出やすいもの、という意識をもって練習することが重要のようです。そのためにはフルショットの練習だけでなく、ハーフショットで自分の球筋を確認してみてはいかかでしょうか。

ジャンルで探す