「買ったドライバーが真っすぐ飛ばない」は当たり前!? 「筆下ろしラウンド」での注意点とやっておくべき調整とは?

購入したドライバーを初めてコースで使う「筆おろし」ラウンド。期待どおりのショットが出ずに、裏切られた気持ちになった経験はないでしょうか。最近ドライバーを購入してラウンドを行ったというインドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチに、購入クラブを使いこなすためのコツを聞きました。

店頭試打時と同じスペックでもクラブに対する期待や欲がまったく違う

 ドライバーを購入する際はショップで何本か試打し、弾道結果を比較して選ぶと思います。私自身は弾道結果よりもコースでの使い心地をショップ試打で妄想しつつ、できるだけスペックを細かくカスタマイズして購入しています。

好結果だったショップ試打を経て購入した新ドライバー、「筆下ろしラウンド」で注意すべき点とは?

好結果だったショップ試打を経て購入した新ドライバー、「筆下ろしラウンド」で注意すべき点とは?

 またフィッターの方には可能な限り正直に自分の好みを話し、ワガママなリクエストも伝えてみます。

 今回購入したタイトリスト「GT3」ドライバーの場合は、ロフトアップ(11度)してヘッドウエートをカスタムオーダー。グリップは後から自分で下巻きを調整し装着しています。

 シャフトは、今まで使用していたタイトリスト「TSR3」ドライバーに挿しているフジクラ「SPEEDER NXブラック(4S)」がお気に入り。でも今回、ストックシャフトである「プロジェクトX DENALI RED50(6.0)」の振り心地がよかったので、これをカスタムオーダーしました。

 タイトリスト「GT」シリーズはストックシャフトの種類が豊富なうえに、同じ価格で長さやバランスなどをオーダーできるところも非常にありがたいです。また、これはスペックとは関係ないですが、「TSi3」と比べて「GT3」の圧倒的なブラッシュアップ感、特にボールに食い付く新鮮な打感と耳心地のいい打音、そして52歳を過ぎてキャリーアップできる感触を得たことも購入の理由です。

タイトリスト「GT3」ドライバーは、引き締まったシルエットとくっきり視認できるフェースがターゲットに合わせやすいこともラウンドで再認識

タイトリスト「GT3」ドライバーは、引き締まったシルエットとくっきり視認できるフェースがターゲットに合わせやすいこともラウンドで再認識

 ここまでカスタムオーダーしている安心感もあるので、購入後は練習場で試打することなく、いきなりコースに持ち込んで「筆下ろし」するのが私のスタイルです。なぜなら、できあがったクラブを練習場で試打した時の期待とか欲というものをコースへ持ち込みたくないから。ラウンドでは、イチから購入クラブと向かい合うのが目的です。

自分に合っているはずのクラブでも「初めまして」の意識が大切

 購入した「GT3」ドライバーの筆下ろしラウンドの日は、あいにくの雨。しかし購入クラブのテスト環境でいえば、悪条件の方がありがたいくらいです。良し悪しが、より明確になりやすいからです。

 ラウンド前にどれだけたくさん試打や練習を行ったとしても、それはあくまで参考データでしかありません。コースの景色に対してスイングする「1球目」が重要です。

自分のイメージに合った「空中の窓」に向けて打ち、どんな弾道で飛ぶのか、その先でどんな曲がり方をするのかを確認。筆おろしラウンドは、そのギャップの有無をチェックする

自分のイメージに合った「空中の窓」に向けて打ち、どんな弾道で飛ぶのか、その先でどんな曲がり方をするのかを確認。筆おろしラウンドは、そのギャップの有無をチェックする

 筆下ろしラウンドでは完全に「初めまして」のクラブのつもりで、打出し方向と弾道の高さにある「空中の窓」をイメージして打っていきます。スイングの形や理屈ではなく、直感的・感覚的に”打つだけ”です。

「試打して買ったんだから真っすぐ飛んでよ」、「前のクラブよりも飛ばすぞ」とは決して考えず、あくまでクラブの声を聞くつもりでいましょう。「どんな力感やタイミングならナイスショットになるのか?」という意識を持ってショットします。

「GT3」は雨の中でもボールが滑らず、イメージどおりの高さと球のつかまりが得られました。試打していた時はロフト10度か11度かで迷っていましたが、どちらも同じくらいのスピン量だったため、11度を選んだことが成功したようです。

 ちなみにツアープロが練習で新しいクラブ打っていても、試合ではテスト中として使わないケースがよくあります。どんなクラブでも使いこなせるプロでさえ、練習ラウンドで新しいクラブと会話しながら、徐々に安心感を高める作業を行なっているのです。

カチャカチャを調整しながらラウンドしてみるべき

 競技ではラウンド中に可変スリーブで調整したりシャフトを替えるのはルール違反ですが、購入クラブの慣らし期間は大いにいじってみるべきです。

「ショップでの試打の時は調整しなくても合っていたのに……」とは考えないでください。クラブの購入前と購入後ではスイングの出力やスピードが違ったり、弾道やミスの内容も微妙に変わる可能性があるからです。

「筆下ろしラウンド」しながら可変スリーブ&シャフトやウエートなど微調整しよう。そうしてコースでのスイングにスペックを合わせていけるのが現代クラブのメリット

「筆下ろしラウンド」しながら可変スリーブ&シャフトやウエートなど微調整しよう。そうしてコースでのスイングにスペックを合わせていけるのが現代クラブのメリット

 極端な話、試打クラブと購入クラブのスペックが同じでも「自分が別人」になってしまうぶん、シャフトのしなり方やヘッドの重さの感じ方、フェースの返り方なども変わるのです。

 昔のクラブはシャフトの向きやロフトを変えることも、ヘッドの重心位置や重さを変えることもできなかったので、「試打した時と違う」と泣いたゴルファーがたくさんいました。

 でも現代のドライバーは可変スリーブ一つでロフト角やライ角度、フェース向きも変えられますし、シャフトも簡単に交換できます。ヘッドウエートも交換できるので、自分のクセに合わせたポジションを探すことも簡単です。
 
 じっくり選んだ購入クラブを「自分仕様」に仕上げるには、慣らしラウンドを設け、場合によってはいろいろといじってみましょう。そうして徐々にコースでの自分とクラブを擦り合わせていく作業を行なってみて下さい。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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