一番恩恵があるのはどんな人? 飛びも高さも強烈な「インプレス ドライブスター TYPE/S」アイアンを徹底試打

「ぶっ飛び系」アイアンのパイオニアであるヤマハから「インプレス ドライブスター TYPE/S」アイアンが発売。前作「インプレス ドライブスター」のDNAがどんな形で引き継がれ、どう進化したのか? インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチに試打&計測してもらいました。

「インプレス ドライブスター TYPE/S」アイアンは7番のロフトが25度

「ぶっ飛びアイアン」のパイオニアといえる「インプレス UD+2」。その飛びにシャープなルックスを融合したのが「インプレス ドライブスター」ですが、その後継モデル「インプレス ドライブスター TYPE/S」アイアンが9月20日に発売されました。

徹底的な飛びと弾道高さを追求した「インプレス ドライブスター TYPE/S」アイアンは、どんなゴルファーが対象なのか探った

徹底的な飛びと弾道高さを追求した「インプレス ドライブスター TYPE/S」アイアンは、どんなゴルファーが対象なのか探った

 いまだに飛び系アイアンに賛否両論あるのも事実ですが、女子プロが使用する7番アイアンの平均ロフト角は29〜30度といわれています。スタンダードロフトが変わりつつあるのです。

「インプレス ドライブスター TYPE/S」の7番アイアンのロフト角は、なんと25度。5番ユーティリティーくらいのロフトですが、構えた時の見え方は意外と7番アイアンらしいデザインです。

 ヘッド長はピン「G730」やテーラーメイド「Qi」と同じミッドサイズですが、意外にもソール幅は抑えめ。オフセットはしっかりありますが、ブリヂストン「242 CB+」とほぼ同じでした。

ヤマハ「インプレス ドライブスター TYPE/S」7番アイアンのロフトはなんと25度

ヤマハ「インプレス ドライブスター TYPE/S」7番アイアンのロフトはなんと25度

 今回は徹底的に飛距離にこだわり、「飛び系を超える飛び系」アイアンを目指した「インプレス ドライブスター TYPE/S」を試打&計測。クラブの特徴や対象ゴルファーを探ってみたいと思います。

ロフトが立っているのに超高弾道

 普段の7番アイアンで平均キャリー160ヤード前後の筒康博コーチと、175ヤード前後のインドアゴルフレンジKz亀戸店・小坂圭司支配人が「インプレス ドライブスター TYPE/S」の7番アイアンを試打しました。

インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博コーチ(写真右)と小坂圭司支配人(写真左)による7番アイアンの試打では、平均飛距離200ヤード&弾道最高到達点110フィート(33.5メートル)というデータが出た

インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博コーチ(写真右)と小坂圭司支配人(写真左)による7番アイアンの試打では、平均飛距離200ヤード&弾道最高到達点110フィート(33.5メートル)というデータが出た

 1球目から筒コーチが180ヤード以上、小坂支配人が220ヤード以上にキャリーが大幅アップ。特筆すべきは弾道最高到達点の高さで、何球かずつ打った2人の平均は110フィート(33.5メートル)以上という驚くべき高弾道になりました。

 平均的7番アイアンよりも2番手ほどロフトが立っているので、37.75インチのスチールシャフト(N.S.PRO 850GH neo)で飛距離は出せても、弾道高(弾道最高到達点)はなかなか出すことはできません。まさに驚きの弾道高でした。

 また興味深いのはヘッドスピードが速くなくても、高い弾道とボール初速が出せること。今までのアイアンにはなかった重心設計やテクノロジーが秘められていることを確信しつつ、7番アイアンのSS(スイートスポット)計測へと進みました。

超「低重心&軽量」ヘッドなら「超初速&超弾道」でグリーンを狙える

 ロフトを立てた飛び系アイアンは「飛ぶけど止まらない」というのは、過去の話になり始めています。「ぶっ飛び系」アイアンの先頭を走るヤマハが技術を結集して作った「インプレス ドライブスター TYPE/S」は、それを証明するモデルでしょう。

 圧倒的なボール初速性能と打出角の高さを両立したことで、ウッド型ユーティリティーの弾道に勝る飛びになっています。

圧倒的な超低重心ながら高初速テクノロジーが詰まった軽量ヘッドアイアン。ヘッドスピードが速くないアマチュアにこそ、高い弾道でグリーンに届く大きな恩恵がある

圧倒的な超低重心ながら高初速テクノロジーが詰まった軽量ヘッドアイアン。ヘッドスピードが速くないアマチュアにこそ、高い弾道でグリーンに届く大きな恩恵がある

 SS(スイートスポット)を計測してみると、さらにビックリ。ボールの中心高(21ミリ)よりも下にある超低重心設計になっていました。

 後日、ヤマハのHPを調べてみると77グラムものタングステンウエートがソールに配置され、ソール前方の肉厚はわずか1.1ミリ。これだけの重心設計を施しているにも関わらず、ヘッド重量は従来に比べて軽量です。

 それでいながら高く飛ばすエネルギーを作り出している、元祖ぶっ飛びアイアンのプライドを垣間見た気がしました。

 ただ「インプレス ドライブスター TYPE/S」は、アイアンの飛距離に困っていないゴルファーは使うべきではないと感じました。しかし、1本だけティーショット用として入れたら……と想像してしまうほど、しっかり振ればめちゃくちゃ飛んで上がるアイアンです。

 アイアンは「飛べばOK」なドライバーとは違い、グリーンを狙うターゲットクラブです。今使っているアイアンで、ちゃんと打っているはずなのに池や谷を越えずに悩んでいる人や、フェアウェイウッドやユーティリティーが打ちこなせない人など、飛距離と高さのどちらも欲しいゴルファーが使うべきでしょう。

 セカンドショットがもっと飛べばプレーが向上するという人は、絶対に一度「インプレス ドライブスター TYPE/S」アイアンを試打するべきだと思います。

 高い上空からグリーンを狙えるようになれば球は止まりやすくなり、ゴルフはもっともっと楽しくなるはずです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

ジャンルで探す