キャロウェイ新作“AI”アイアン「APEX Ai200」はスコア80台 「Ai300」は90台のミスに強いって本当!? どう違うのか試打比較

上昇志向のあるゴルファーから支持を得ているキャロウェイの「APEX」アイアン。ゴルフライターの鶴原弘高が「APEX パフォーマンスシリーズ」と名付けられている新作の「APEX Ai200」と「APEX Ai300」を試打比較。シリーズや各モデルの特徴をレポートします。

2つの意味で“スマート”な「APEX Ai200」と「APEX Ai300」

 2014年に初代モデルが登場したAPEXのアイアンシリーズは、今作で5代目になります。めでたく10周年を迎えるわけですが、ここまでシリーズが続いてきたのは、ズバリ言ってしまうと、見た目がカッコ良くて、なおかつやさしく飛ばせる性能を備えているからです。新登場した「APEX Ai200」と「APEX Ai300」は、それらの要素をさらに進化させたモデルとなっています。

左から「APEX Ai200」と「APEX Ai300」

左から「APEX Ai200」と「APEX Ai300」

 新作の「APEX Ai200」と「APEX Ai200」では、歴代モデルと同様に軟鉄鍛造ボディーを採用しているだけでなく、フェースも高強度素材(カーペンター455スチール)の鍛造になりました。このフェースは高初速でボールを飛ばせるだけでなく、AIを使った独自の偏肉設計がされていて、やさしくグリーンを狙えるように番手やモデル別にデザインされているのが大きな特徴です。

 また、従来モデルではヘッドがキャビティー構造でしたが、新作では中空構造が新たに採用されています。これによって見た目も中上級者が好むようなスッキリとしたバックフェースのデザインになっています。

 AIがよりスマート(賢く)になり、見た目もスマート(カッコ良く)になっているのが「APEX Ai200」と「APEX Ai300」と言えます。

スコア別の打点分析をしてAIフェースがさらに進化

 キャロウェイのAIフェースはどんどん進化していて、対象ゴルファーを絞ったフェース設計が採用されるようになっています。「APEX Ai200」は、スコア80~90のゴルファーの打点位置を分析してミスショット時にも寛容性を持たせるようなフェース設計が採用されています。そして「APEX Ai300」は、スコア90~100の人をターゲットにしたフェース設計になっています。

 とはいえ、あくまでもこれらはクラブを設計するうえでのキャロウェイ側のコンセプトです。具体的に「APEX Ai200」と「APEX Ai300」の弾道や球筋にはどんな違いがあるのか、実際に試打して確かめてみました。

どちらも高初速&高弾道で飛ばせるが、球筋は少し違う

「APEX Ai200」と「APEX Ai300」を構え比べてみると、後者のほうがヘッドのブレードが長く、トップブレードも厚く、オフセット(グース)も強めになっています。当てやすそうな安心感は「APEX Ai300」のほうがあって、「APEX Ai200」はそれよりもシャープな見た目のモデルです。ロフト設定は、「APEX Ai200」が7番で30度、「APEX Ai300」は29度となっています。

左から「APEX Ai200」と「APEX Ai300」の構えた見た目

左から「APEX Ai200」と「APEX Ai300」の構えた見た目

 打ち比べてみると、ボール初速性能は2モデルで同等。打感には弾き感がありますが、ヘッドに内蔵されている衝撃吸収剤(ウレタンマイクロスフィア)によって、フェースに食い付くアイアンらしいフィーリングが演出されていて、打った感触は上々です。

「Ai200」「Ai300」ともに7番でキャリー170ヤード以上をラクに飛ばすことができた

「Ai200」「Ai300」ともに7番でキャリー170ヤード以上をラクに飛ばすことができた

 ドライバーのヘッドスピード42m/sを想定して試打した場合、どちらのモデルも7番でキャリー170ヤード以上をラクに飛ばすことができました。飛距離でいうと、ロフト角の1度差ぶんだけ、「APEX Ai300」のほうが飛ばしやすくなっています。そのキャリーの差はおよそ3ヤードでした。ちなみに、7番でロフト角33度の「APEX PRO」を試打してみると、「APEX Ai300」よりもキャリーで10ヤードほど飛距離が落ちる結果となりました。

「APEX Ai200」と「APEX Ai300」で印象的なのは、どちらのモデルを打っても弾道の最高到達点が高いところです。「APEX Ai200」は、しっかりとスピンが入ってくれて、アイアンらしい弾道でグリーンに止まる球を打つことができます。「APEX Ai300」は、それよりもスピン量が少なめになりますが、ロフトのわりに打ち出し角が高めです。2モデルともに従来よりも“止める性能”が向上しているように感じられました。

球のつかまり感と安心感でモデル選びを

 あえて2モデルでミスショットも打ってみましたが、両モデルともにオフセンターヒットには強いです。2モデルともにオートマチックに直線的なボールを打ちやすく、少しだけ操作性を残してあるようなアイアン性能。球筋を操作したいバリバリのアスリート志向のゴルファーでなければ、多くのゴルファーが「APEX Ai200」と「APEX Ai300」の飛距離と許容性、コースでの使いやすさに満足するでしょう。

APEXアイアンは既出の「MB」「CB」「PRO」と合わせて計5機種に

APEXアイアンは既出の「MB」「CB」「PRO」と合わせて計5機種に

 では、どちらのモデルを選ぶべきか。構えたときの安心感と球のつかまり感を優先するなら、ヘッドが大きめでオフセットの強い「APEX Ai300」を選んでおくのがベター。また、少しでも高弾道で飛ばしたいという人にも「APEX Ai300」が有利です。逆に引っかけのミスを嫌う人や、アイアンらしいスピンの入った球を打ちたい人、できるだけスッキリした形状のヘッドを好む人には「APEX Ai200」がいいでしょう。

試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフギア関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。YouTubeチャンネル:『A1 GOLF CLUB』(https://www.youtube.com/@A1_GC) Instagram:@tsuruhara_hirotaka

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