日照不足だけが理由じゃない!? ティーイングエリアの人工マット化はゴルファーの「悪マナー」が原因ってホント?

パー3だけじゃないく、パー4やパー5のティーイングエリアも人工マットになっているホールをたまに見かけます。これは、単純に日照などで芝の生育に問題があるケース以外にも、来場するゴルファーが原因の場合もあるそうです。

時間つぶしに「向かい合ってロブショット」そんな悪マナーが悪影響を与えている

 先日、薄暮ナイターで人気のゴルフ場をラウンドした時のことです。ティーショットを行っている組のすぐ後方のメンテナンス中のエリアで、次の組のゴルファーたちが向かい合ってロブショットを延々と打っていました。

パー4やパー5のティーイングエリアが人工マットになっていてティーが刺しにくいコースがあるが理由とは?

パー4やパー5のティーイングエリアが人工マットになっていてティーが刺しにくいコースがあるが理由とは?

 R&Aルールやマナーがどうこうという以前の問題として、ゴルファーが向かい合ってロブショットを打つ神経が理解できませんでした。近距離でトップでもすれば同伴者に当たりかねませんし、ホームランすれば前方でティーショットを行っている所まで打ち込んでしまうかもしれません。危険極まりありません。

 ゴルファーの「悪マナー」問題は昔も今もなくなっていませんが、そのせいで「マナー遵守」ゴルファーにまで影響が及んでいます。その一例が、ティーイングエリアの人工マット化。その理由をお話ししましょう。

パー3は天然芝のままでもパー4とパー5が人工マットに替わったワケ

 人気のゴルフ場がパー3は天然芝のままなのに、パー4とパー5のティーイングエリアだけ人工マットに張り替わっていたというケースが増えています。

 いくつかのゴルフ場に理由を確認したところ、その多くは「深いディボット跡による損傷に芝の回復が追いつかなかった」ということだそうです。

ゴルフ場が芝のコンディション維持のために「アプローチ禁止」のアナウンスを行っても、そこには必ずディボット跡がある

ゴルフ場が芝のコンディション維持のために「アプローチ禁止」のアナウンスを行っても、そこには必ずディボット跡がある

 パー4やパー5のティーショットで使用するのはドライバーなどのウッドクラブです。もちろんビギナーがダフッたり、上級者がアイアンでレイアップしてターフを取る場合もあるでしょう。

 しかし、大半のゴルファーがアイアンで打つパー3のティーイングエリアの天然芝が維持できているにも関わらず、パー4やパー5が人工マットに替わるのは不思議です。理由の一つは、先ほどお話ししたようなティーショットの待ち時間に行われるウェッジショットによる深いディボット跡と考えていいでしょう。

 日差しなどの天候上の理由でなら仕方ありませんが、人工マットに替わってしまうのは非常に悲しいことです。しかもそれにはコストがかかります。

「悪マナー」による不本意な人工マット化は、同時にプレーフィーの値上げという形でゴルファーに返ってくるしかありません。

「目土をしなさい」「グリーンのピッチマークを直しなさい」というレベル以前に、明らかに危ない&迷惑なことをしないゴルファーであることが最低限のマナーです。しかしゴルフ場サイドとしても、予約を受ける段階でゴルファーのマナーまでは分かりません。また、「悪マナー」な人ほどコース巡回や前後の組から見えない時に行っていることが多いためタチが悪いのです。

「マナー遵守」を議論をしても「悪マナー」の人の耳には届かない

 みなさんの中にも、隣のホールから声掛けもせずにボールを探しにくるゴルファーなど、前後組の「悪マナー」に遭遇した経験はあると思います。一方で、そもそも「悪マナー」の人がいそうなコースに行かなければよい、という考えの人もいるでしょう。しかし実際には、多少の違いこそあれマナー問題はどんなゴルフ場にもある話です。

 この問題の根深いところは「マナー遵守」ゴルファー同士で議論していても、実際に「悪マナー」を行っている人の耳には届かないことかもしれません。

声掛けもなく隣のホールからボールを探しに来るなど「悪マナー」にはキリがないが、マナー遵守ゴルファー同士の議論ばかりでは改善できない

声掛けもなく隣のホールからボールを探しに来るなど「悪マナー」にはキリがないが、マナー遵守ゴルファー同士の議論ばかりでは改善できない

 また実際に私が目撃したケースとして、一生懸命にプレーしている小学生ゴルファーが親御さんの指示で同じ所から何球も打っていることがありました。これでは子供は「悪マナー」とは気づくことができません。

 仮にあなたが周りの人を注意ばかりするパトロールゴルファーになったとしても、それでは自分のゴルフが楽しくありません。またゴルフ場スタッフに「悪マナー」対策をするようにプレッシャーをかけるのも改善策とは思えません。

 とりあえず個々のゴルファーができることは、せめて知り合いや同伴者にだけは腕前や年齢に関係なく「NO!」といえるゴルファーになることでしょう。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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