「最近、斜めなティーイングエリアが増えた気が…」 立ちにくい場所が増えた理由が“人手不足”って本当?

「ティーイングエリアが斜めなのは、雨水を効率良く排水するためだよ」という話を聞いたことがあるゴルファーも多いと思います。しかし、実際は別の理由もあり、近年はそれが原因で「斜めなティーイングエリア」が増えてきているといいます。

長年の目土がティーイングエリアを「斜め」にする

 最近ゴルフをしていて、自分あるいは同伴者の口から次のセリフが発せられる機会が増えた気がします。それは「このティーイングエリア、平らなところがないね」です。

 ゴルフは基本的に自分でライ(ボールがある場所の状態)を選べるのはティーショットだけです。なので、なるべく平らで打ちやすい場所からティーショットを打ちたいのですが、2つのティーマーカーの間と、そこから2クラブレングス以内のどこを探しても平らなところが見当たらない状況が増えたように感じるのです。

長年の目土によって盛り上がったティーイングエリアを修繕するための人手が足りない 写真:PIXTA

長年の目土によって盛り上がったティーイングエリアを修繕するための人手が足りない 写真:PIXTA

 この認識は事実なのでしょうか。それとも錯覚なのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。

「ティーイングエリアが斜めのコースが増えたかどうかは分かりませんが、ティーイングエリアが斜めになるのは次のような流れです」

「最初はどのティーイングエリアも平らですが、ティーショットを打つうちにディボット跡ができます。ディボット跡ができるのはパー3だけでなく、パー4やパー5のティーイングエリアでもドライバーでダフる人はいますからね」

「ディボット跡ができるとゴルフ場は目土をします。そうすると、その部分の土の量がだんだん増えていきます。多くのゴルファーはティーイングエリアの真ん中からティーショットを打ちますから、真ん中が盛り上がり、左右が下がって斜めになるということが起こります。そのようなティーイングエリアが以前よりも増えているのかもしれません」

 ティーイングエリアが斜めになったら、直すことはできるのでしょうか。

「直すことはできますよ。ただ、昨今はどこのゴルフ場も人手不足ですから、日々のコース管理作業に追われ、斜めになったティーイングエリアを直すところまで手が回らないのでしょう」

レディースティーが狭くて打ちにくいという声もよく聞く

 ティーイングエリアに関しては、レディースティーがレギュラーティー以上に斜めで、しかも小さくて打ちにくいという声を女性ゴルファーからよく聞きます。

「レディースティーは女性の来場比率がそれほど高くないこともあって、あまり重視していないゴルフ場が今でも多いのかもしれません。女性用の設備はロッカーやお風呂も男性用に比べて極端に小さかったりしますから」

「うちのゴルフ場はレディースティーが狭くて打ちにくいという苦情はありませんが、そういう声があるとしたら、直したほうがいいですよね。ティーイングエリアの修繕費用なんて、大した金額ではないと思いますから」

「ただし、先ほどと同じ話になりますが、コース管理の人手が足りないので、使用頻度の低いレディースティーはなおさら後回しになる可能性があります」

 このゴルフ場の女性比率は来場者の10~11パーセントの間で推移しており、その割合はここ何年も変わらないそうです。1割の来場者のために対応するのは難しいと考えているゴルフ場が多いのかもしれません。

 逆にいうと、女性比率を10パーセントから15パーセント、そして20パーセントに引き上げるために女性用設備の充実に力を入れているゴルフ場はあります。

 女性はそういったサービスに敏感ですから、女性のリピーターが増えると女性比率がますます高まる好循環が生まれます。

「うちのゴルフ場は70歳以上の女性の来場者が増えてきたこともあり、ピンクティーを新設しました。既存のレディースティーが5000~5200ヤードくらいなのに対し、ピンクティーは3500~3800ヤードくらいですかね」

 女性は男性よりも長生きですから、70歳以上の女性ゴルファーはこれからどんどん増えるはずです。その世代に向けて設備を充実させるのはゴルフ場にとって必要不可欠な施策でしょう。

 一方で、最も使用頻度が高いレギュラーティーの傾きさえも直せないゴルフ場は、これからどんどんジリ貧になっていく危険性がありそうです。

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