「リゾートコース」とはいうけれど… 必ずしも観光地にあるワケじゃない? 正しい意味をゴルフ場の経営コンサルに聞いてみた
ひとくちに「ゴルフ場」といってもさまざまな形態がありますが、そのなかの一つに「リゾートコース」と呼ばれるものがあります。一般的なゴルフ場とは違った意味での開放感が楽しめるようです。
単純に「リゾート地にあるから」という意味ではない
ゴルフ場には、メンバーシップ制のコースやパブリックコースなど多様な形態がありますが、そのなかの一つに「リゾートコース」と呼ばれるものがあります。
一般的なゴルフ場でも、緑に囲まれた開放的な雰囲気は感じられますが、リゾートコースの場合はまた違った意味での開放感を楽しめるようです。
では、リゾートコースとはどのようなゴルフ場を指すのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「リゾートコースとは、ゴルフをレジャー感覚で楽しみたいという人のための“カジュアルなコース”のことです」
「まずコースは変に難しくなっておらず、たとえば『ピンポイントでボールを落とさないと、すぐにOBに入ってしまう』などのいじわるな設計はしません。フェアウェイが広く取られていて、どこからでも簡単に次のショットが狙えるような造りをしています」
「アンジュレーションがキツかったりアップダウンが激しいと難易度が高くなりやすいので、平坦で見通しが良い場合が多く、美しい景観にも配慮がなされています」
「せっかく休みの日を利用してリゾートコースに来たのに、近隣の民家が近くに見えて生活感が丸見えだったらがっかりしてしまうでしょう。非日常感を味わえるように生活圏から少し離れていたり、木々で民家を隠したりといった対策を取っています」
民家を隠すのとは反対に、海外や沖縄ではコース沿いに高級リゾートヴィラ(別荘)が立ち並んでいる場合もあります。
リゾートコースと聞くと、沖縄や北海道をはじめとしたリゾート地や、観光地にあるゴルフ場全般を連想する人が多いでしょう。しかし、こういった場所にもプロのトーナメントが開催されるような、難易度が高い本格的なゴルフ場はいくつもあります。
リゾートコースは単純に「リゾート地として有名な場所にあるゴルフ場」というだけでなく、「ホテルでの滞在や観光の延長線上として利用し、ストレスなくプレーができて“また来たい”と思えるような設計や演出をしているゴルフ場」なのです。
少人数・キャディーなしでも回りやすいシステム
リゾートコースには、ほかにどのような特徴があるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「一般的なゴルフ場は4人1組で回るのが基本スタイルとされており、最近では3サムや2サムでのラウンドを歓迎しているところも増えていますが、あくまでもサブとして受け入れているのが現状です」
「一方で、リゾートコースはカップルや夫婦で回りたいというニーズが旺盛なので、2サムを前提としたシステムを採用している場合が多いです」
「もしも2人の間にスキルの差があると、出会うタイミングがティーイングエリアやグリーンくらいしかないといったケースも考えられます。そこで2シーターの小型カートを導入し、フェアウェイへの乗り入れを常時認めている場合も少なくありません。ショットの場所がバラバラでも2人で自由自在に動き回れて、コミュニケーションを取りながらより楽しくプレーできるようになっているのです」
「リゾートコースで平坦なところが多いのは、難易度を抑える以外にもカート移動の範囲を最大限広げられるからというのもあるでしょう」
「キャディーが常駐しているところは少なく、セルフプレーが基本となっているので、プレーヤーだけでも回りやすいようにコースにある設備にも工夫がなされています」
「たとえば、グリーンの旗はカップが切られている位置によって色を変え、手前だったら赤、中心付近だったら白、そして奥の方は青としています。すると遠くからでもカップの場所が一目で分かり、それに応じてクラブの番手を選ぶのも容易になります。ストレスフリーかつ、プレーファストの促進にもつながるのです」
さらに、リゾートコースは誰でも気軽に来場できるよう、ドレスコードが緩く設定されており、パブリックコースの場合も多くなっています。北海道や沖縄ではランチ休憩なしのスループレーが基本なので、午前中にサッと回って残った時間を観光にあてるというプランも立てられます。
リゾートコースは遠方にあるイメージを持たれがちですが、関東や関西など都市部近郊にも条件を満たすゴルフ場はあります。宿泊施設が併設されているところもあり、「非日常感を味わいたい」「オープンな雰囲気のゴルフ場に行きたい」と考えている人にはオススメかもしれません。
10/15 11:10
ゴルフのニュース