閉鎖したゴルフ場その後どうなる? 会員権を買ったメンバーは… マイナスばかりとも限らないって本当!?

昨今はゴルフ人気が高まっていますが、一方で閉鎖を余儀なくされるゴルフ場もあるようです。閉鎖されたゴルフ場は、その後どうなるのでしょうか。

広い土地を活用した施設に生まれ変わる

 コロナ禍を経てゴルフの競技人口が増え、多くのゴルフ場が盛況になったと思っている人もいるかもしれません。

ゴルフ場跡地には広大な空き地が残る 画像:PIXTA

ゴルフ場跡地には広大な空き地が残る 画像:PIXTA

 ところが現実はそう甘くなく、ゴルフ人気が高まっているにもかかわらず、閉鎖を余儀なくされてしまったゴルフ場もあるようです。

 閉鎖されたゴルフ場の跡には広大な空地が生まれますが、その後はどうなるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「活用例はいくつかありますが、最も代表的なのは『メガソーラー』と呼ばれる大規模な太陽光発電所に転用されるケースです。莫大な電力を生み出すには相当な数の太陽光パネルが必要で、地形的な条件も重要な要因になってきます」

「ゴルフ場跡地は広大な土地を一気に手に入れられますし、特に全体が南を向いているコースは太陽の軌道に合わせてパネルを設置できるので、メガソーラーの建設地に最適な場所といえます」

「そのほかにも牧場や工業団地に転用したり、コースの一部を残しつつホテルなどを新たに建設した『複合型リゾート施設』に生まれ変わらせることもあります」

 ただし、丘陵コースや山岳コースといわれる山間部に位置するゴルフ場は交通アクセスに難があり、多くの人が魅力を感じられるほどの斬新なアイデアが出ない限り、収益性は見込みにくいそうです。

 そのため、リスクを最小限に留められるメガソーラーなどに転用するのが、最も無難だといわれているようです。

 ゴルフ場跡地の活用例はほかにもあり、たとえば奈良県五條市の「プレディアゴルフ」は南海トラフ地震対策として計画された大規模広域防災拠点になっています。千葉県芝山町の「富里ゴルフ倶楽部」は成田空港の3本目の滑走路に、そして埼玉県川越市にあった「川越グリーンクロス」は、荒川の治水事業の一環のため閉鎖されました。

閉鎖が決まったゴルフ場のメンバーはどうなる?

 パブリックコース以外のゴルフ場にはメンバーが在籍していますが、閉鎖が決まった場合、そのゴルフ場のメンバーの人たちはどうなるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「ゴルフ場の閉鎖は、そのクラブが『解散』されることを意味しているので、いずれはメンバー全員が持っている会員権も無効となります。一応、経営が苦しくなったからといってすぐに閉鎖されるわけではなく、民事再生法を適用したり、預託金を可能な限り圧縮したりして、なんとか持ちこたえようと努力はします」

「しかし、それでも運営を続けるのが不可能と判断された際には、破産手続きをして正式に閉鎖が決まります。土地を落札した企業の資金から捻出した破産配当をメンバーに配って解散です。作業が滞りなく進めばいいのですが、一人当たりいくら配当するかを決めるのに時間がかかれば、閉鎖の決定から土地の受け渡しまでにも期間を要します」

「場合によっては紙くず同然にまでなりかけた会員権がお金になって返ってくることもあるので、また別のゴルフ場のメンバーになりたい人は、そのお金を使って新しい会員権を購入するでしょう」

 ここ数年で「ゴルフ人口が増えた」のは事実ですが、バブル期をはじめとした時代にゴルフ場が供給過多になってしまったため、儲からないゴルフ場は閉鎖に追い込まれているのが現状です。

 ゴルフが好きな人は、ゴルフ場がなくなってしまうことに寂しさを感じるかもしれません。けれど、ゴルフ場の跡地が別のカタチで社会に貢献できるのなら、それは喜ばしいことでしょう。

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