ナイターゴルフは通年で楽しむのがスタンダード!? 利用者の傾向と大手運営会社が考える今後のナイター戦略とは?

今年も暑かった夏場のゴルフ、ナイターラウンドを初体験したという人も多いと思います。しかし、近年は「ナイターは通年楽しむ」がスタンダードになってきているそうです。

猛暑の影響でナイターゴルフの人気が高まっている

 今夏も猛暑日が続き、ゴルファーにとって過酷なコンディションとなりました。そんな中、ナイターゴルフの需要が高まっているという噂を聞き、ナイターゴルフ実施コースを取材してきました。

 取材にうかがったのはムーンレイクゴルフクラブ市原コース(千葉県)です。このゴルフ場は館山自動車道市原インターから5キロという交通至便な立地条件で、毎年多くのゴルファーが訪れています。

 ムーンレイクゴルフクラブ市原コースは2000年開場のパブリックコースです。2007年にナイター照明を設置した後、2012年に大手ゴルフ場運営会社のPGMグループが取得しました。2017年にナイター照明を水銀灯からLEDランプに交換したことで、さらに明るく快適な環境でプレーが楽しめるようになったそうです。

練習グリーンもLED照明で明るいので、日中のプレーと遜色なく楽しむことができるナイターゴルフ

練習グリーンもLED照明で明るいので、日中のプレーと遜色なく楽しむことができるナイターゴルフ

 支配人の滝口和祐さんに話を聞いて驚いたのが年間ラウンド数です。一昨年(2022年)のラウンド数が通常営業5万4000人、ナイター営業2万8000人、合計8万2000人だというのです。来場者数ではなくラウンド数という表現を使っているのは、9ホールプレーのプランを販売しているので、0.5ラウンド+2=1人とカウントしているのでしょう。

 筆者が以前、ゴルフ場関係者から聞いたのは次の数字です。「18ホールのゴルフ場で通年営業なら年間4万人入れば合格点です。5万人を超えると優良コースですね」。この数字と比較すると、通常営業だけで優良コースのうえ、ナイター営業も合わせると合格点の2倍以上ということになります。

 興味深かったのは客層の違いです。PGMの通常のコースですと、10代から30代の来場者が20パーセント強であるのに対し、ムーンレイクゴルフクラブ市原コースは直近1カ月のデータで37パーセントと、39歳以下の来場者が極めて多いそうです。

 さらに40代から50代の来場者が41パーセントで、59歳以下が全体の78パーセントを占めています。若い世代のゴルファーから圧倒的に支持されていることが分かります。

 また、女性の来場比率もPGMの中でナイター設備を保有する6コースのデータで見ると、通常営業が約15パーセント、ナイター営業が約19パーセントと、ナイター営業の比率が高くなっています。これは日焼けをしたくない女性や汗でびしょ濡れになりたくない女性が多いからでしょう。

 ナイターゴルフをしたことがない人にお伝えしておくと、ムーンレイクゴルフクラブ市原コースの最終スタート時間は18ホールプレーが20時、9ホールプレーが21時です。この時間は季節によって変動します。そして、この時間帯で営業している期間は24時30分ごろまでお風呂に入れます。

 ナイター営業は夏季限定ではなく、1年中実施しています。ただし、冬場は深夜までプレーする人がいなくなるため、スタート枠を減らします。プレー料金は入場時に支払い、退場時はロッカーキーを返却ボックスに入れます。

PGMは2024~2025年に新たな6コースでナイター営業を開始

 若年層と女性からの人気に注目したPGMは、既存のナイター営業6コースに加え、2024~25年に新たな6コースでナイター営業を開始します。

 24年8月1日から多治見北ゴルフ倶楽部(岐阜県)とPGMゴルフリゾート沖縄(沖縄県)の27ホール中18ホール(ハイビスカスコースとブーゲンビリアコース)でナイター営業を開始。24年12月にはザ・インペリアルカントリークラブ(茨城県)の27ホール中18ホールでナイター営業を開始する予定です。

事前精算なので、ラウンド後はスムーズに帰途につけるのもナイターゴルフの魅力

事前精算なので、ラウンド後はスムーズに帰途につけるのもナイターゴルフの魅力

 25年3月には武庫ノ台ゴルフコース(兵庫県)、東広島カントリークラブ(広島県)、福岡レイクサイドカントリークラブ(福岡県)でナイター営業を開始できるよう準備を進めています。

 コロナ禍で若い人たちがゴルフを始めたといわれていますが、日本のゴルフ場の来場者は今でも60~70代が圧倒的多数です。この世代がゴルフをやめる時期になったらゴルフ人口は一気に減ると危惧されています。

 PGMとしてはナイターゴルフが若年層に好まれていることを確信しているので、新たなゴルファーを発掘して育てるためにナイターゴルフを拡大・活用していこうという方針を打ち出したわけです。この取り組みによってゴルフに興味を持つ若者がさらに増えることを期待したいです。

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