セルフプレー対策で短くなっていたラフが最近は長いまま… 優先順位が低い「ラフ刈り込み」の実情とは?

セルフプレーがメインのゴルフ場へ行くと、ラフの長さがホールによって違っていたり、異様に長いことがあります。ラウンドの進行スピードにも大きな影響を与える「ラフの長さ」が、最近特に均一でない理由をゴルフ場に聞きました。

ラフの長さは決まっているが刈り込みが間に合っていない

 日本のゴルフ場はセルフプレー主体の営業になってからラフの芝を短く刈り込むのが主流になりました。その理由はボールを見つけやすいからです。

 スムーズなプレー進行の妨げになりがちなのがロストボールです。フェアウェイから少し外れただけなのに、ラフが長くてボールが見つからないと、「なくなるボールじゃないんだけどな」と諦めきれない思いが募り、捜索時間が長くなります。

少ない人数で行うコースメンテナンスではラフの長さを一定に保つのは限界がある 写真:PIXTA

少ない人数で行うコースメンテナンスではラフの長さを一定に保つのは限界がある 写真:PIXTA

 現行のゴルフルールでは、プレーヤーまたはキャディーがボールを捜し始めてから3分以内に見つけることができなければロストボールになります。3分という時間は実際にストップウォッチで計ってみるとあっという間です。

 かつては5分までボールを捜せる時代があったこともあり、多くのゴルファーは時間を気にせず後ろの組が来るまで捜し続け、後ろの組が来たら諦めてロストボール扱いにするのが実際に行なわれているプレースタイルになっています。

 大手ゴルフ場運営会社はボールを捜索する時間を減らすためラフの長さを25ミリから35ミリの間に設定しているようです。ゴルフボールの直径は42.67ミリ(1.68インチ)以上と決められています。ラフの長さが25ミリから35ミリの間であれば、ボールがラフに入ってもボールの上部がピョコンと飛び出ます。そうするとボールは見つけやすいです。

 ところが今夏に大手ゴルフ場運営会社以外のゴルフ場で何度かプレーしたところ、「ラフが意外と長いな」と感じるコースがいくつかありました。また、同じゴルフ場でも前半9ホールと後半9ホールでラフの長さが明らかに異なるケースがありました。これってどういうことなのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。

「ラフの長さはゴルフ場ごとに基準値があるはずです。うちのゴルフ場は50ミリに設定しています。その理由は、フェアウェイに飛んだボールと比べてラフに飛んだボールはペナルティーがあるべきだと考えているからです。したがってボールの捜しやすさよりもラフの打ちづらさを優先しています」

「ただ、現実問題として18ホールすべてのラフが50ミリに刈りそろえてあるかといったら、正直なところそこまではできていません。刈り込みが間に合っていないのが実情です」

ラフを均一に刈りそろえるのは難しい

 別のゴルフ場関係者はコース管理の難しさを次のように表現します。

「今はどこのゴルフ場も人手不足に悩んでいます。求人を募集しても人が来てくれないんですよ。中でもコース管理はいわゆる3K(きつい、汚い、危険)労働ですから、若い子が入ってきても3カ月で辞めてしまいます。その結果、高齢化したスタッフが少ない人数でコース管理作業を行なっています」

「コース管理作業の優先順位としては、グリーンとフェアウェイの刈り込みは欠かすことができませんから、ラフの刈り込みは優先順位が下がります。毎日均一に刈り込むというのは現実的に難しいです。18ホールを6回に分けて、3ホールずつ6日間で刈り込んでいくような形になります。そうなるとラフの長さはホールごとに変わります」

「各都道府県のゴルフ連盟主催の競技を開催するときはラフの長さも均一にしなければなりませんが、一般営業のゴルフ場でそこまでできるのは、人手が足りている一部の高級接待コースやトーナメント開催コースくらいでしょう」

 筆者はプレー料金が良心的な大衆コースに行くことが多いので、コースメンテナンスに関してはそんなに高いレベルは望んでいませんが、ラフに飛んだボールが見つかりにくいのは悩ましい問題です。

「それならフェアウェイに打てよ」という話ですが、フェアウェイを狙っているのにフェアウェイに飛ばないのがゴルフの難しいところです。ラフに飛んだボールの着地点とキックした方向を今まで以上に高い精度で見守るというのが現実的な対処方法になりそうです。

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