朝から「和御膳」はNO! “多くて高い”イメージがあった「ゴルフ場のレストラン」に変革の波が!?

日本のゴルフでは、ハーフターン時にクラブハウス内のレストランでランチを取るのが一般的です。しかし普通のレストランと比較すると、早く閉まってしまう印象があるかもしれません。

閉店時間が早いのは「採算が合わない」から

 日本のゴルフでは、前半の9ホールが終わってから後半の9ホールがスタートするまでの間に「ハーフターン」があり、クラブハウス内のレストランでランチを取るのが一般的です。

最近ではスループレーでランチを取らない人も 写真:PIXTA

最近ではスループレーでランチを取らない人も 写真:PIXTA

 利用者はゴルフ場の中にいる人に限定されていることもあり、普通のレストランと比較して、閉店時間が早い印象を持っている人もいるでしょう。

 では実際には、ゴルフ場のレストランの営業時間はどれくらいなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「ゴルフ場によってもまちまちですが、朝食から受け入れているところでは6時〜7時からオープンし、午後は最終組が戻ってくるのと同じくらいの17時ごろクローズするというのが平均的な営業時間といえるでしょう」

「昨今のゴルフ業界は人手不足が常態化していますが、レストランもまた然りです。利用者数の低迷により、厨房設備の維持・管理や食材に充てる費用がかさみ、一部で営業時間を短くしたり、メニュー数を減らしているところも見受けられます」

「早朝プレーで早くラウンドを終えたゴルファーのなかには、レストランで朝食を取りたい人もいるでしょう。しかしいざ立ち寄ってみると『和御膳』などと題された2000円近くもするようなメニューしか載っておらず、値段の高さに驚いた人もいるかもしれません」

「値段に比例するような形で量もボリュームがあることが多いですが、ホテルや旅館のようにゆっくり食べられるならまだしも、これから予定がある人にとっては『こんなにいらないよ』とも思いますよね」

「価格設定や料理の内容など、さまざまな面で需要と供給がミスマッチになりやすい点も、メニュー数減少に至った理由の一つです」

 料理の値段が高いレストランでの出費を抑えようと弁当などを外部から持ち込んだり、スループレーの人気上昇に伴いレストランの利用機会が減ったことも、利用率の低迷や営業時間の短縮の要因になったとされています。

 実際に、千葉県大多喜町のマグレガーカントリークラブでは、スループレーや「お一人様ゴルフ」が大いに人気を博したことから、2022年1月にはレストランを完全にクローズしました(現在、ゴルフ場休業中)。

客単価アップ・営業時間拡大につながる取り組みとは?

 では、ゴルフ場は多くの利用者にレストランを魅力的に感じてもらえるよう、どのような取り組みをしているのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「以前、私は茨城県にあるイーグルポイントゴルフクラブの代表取締役社長を務めていました。私がレストランに新しく導入したのは『卵かけご飯』。地元茨城の名産として知られる奥久慈のブランド卵をはじめ、ご飯には炊き立てのコシヒカリを使い、醤油やセットの味噌汁の材料にもこだわりました」

「値段は卵かけご飯にしては若干割高かもしれませんが、従来のゴルフ場の朝食セットと比べれば圧倒的に安く抑えられます。何より多くの人に馴染み深い料理に少しリッチな食材を用いることで、レストランの利用率が上がるよう努めました。このような取り組みが広がれば昼以外の時間帯でも稼働率が上がり、営業時間の拡大にも貢献できると思います」

 ちなみに、飯島氏がイーグルポイントの代表取締役社長をしていた時代にメニュー化された卵かけご飯は、以降ほかのゴルフ場にも波及していき、ゴルフ場のレストラン運営に一石を投じた出来事となったそうです。

 ゴルフ場のレストランは、ちょうどいいメニューがなかったり料理の値段が高かったりと、一般的なレストランと比べると自由度が少ないイメージを持たれがちです。しかし、さまざまな改革が行われることで、今後もっと利用しやすいレストランが増えていくかもしれません。

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