「アマチュアは芝用と砂用のウェッジを2本バッグに入れるべき!」 クラブフィッターが使い分けを強く勧める理由

アマチュアゴルファーにとって難易度が高いアプローチやバンカーショット。ベストスコア71の大蔵ゴルフスタジオ・クラブフィッターである野倉大南氏によると、アプローチとバンカーショットで同じウェッジを使用することが、その難易度をさらに高めているといいます。さて、その理由とは?

芝と砂ではバンスやソール幅が異なるウェッジを使用しよう

 アマチュアゴルファーの多くは、芝からのアプローチとバンカーショットで同じウェッジを使っています。しかし、アプローチやバンカーショットが苦手な人は、芝用とバンカー用でウェッジを使い分けることで、ピンに寄る確率が格段に上がるといいます。大蔵ゴルフスタジオ(東京都世田谷区)のクラブフィッター野倉大南氏が解説します。

左がバンス角が大きくソールも広いバンカーに適したウェッジで、右は一般的なウェッジ

左がバンス角が大きくソールも広いバンカーに適したウェッジで、右は一般的なウェッジ

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 私たちクラブフィッターからいわせていただくと、芝から打つときは芝用のウェッジ、砂から打つときは砂用のウェッジを使い分けた方が合理的です。

 ウェッジのソール部分の出っ張りをバンスと呼び、ウェッジの性能に大きく影響します。バンス角は一般的に、8度以下をローバンス、12度以上をハイバンスといいます。バンス角が大きいハイバンスウェッジはソールが地面に当たり跳ね返りやすくなり、下が柔らかいバンカーショットなどが容易になります。一方、バンス角が少ないローバンスウェッジは、ソールが地面に当たりにくいため、ピッチショットやアプローチに適しており、球を高く上げやすくなります(入射角によって個人差はあります)。

 プロゴルファーはフェースを開いたり、さまざまな技術を駆使して1本のウェッジで芝とバンカーからのアプローチを打ち分ける選手が少なくありませんが、アマチュアゴルファーは芝と砂でウェッジを使い分けた方がアプローチが断然簡単になります。芝から打つときはソールが跳ねやすいため、ローバンスのウェッジの方が一般的に扱いやすいです。一方、バンカーから打つときは砂が柔らかいため、芝と同じような当たり方をするとヘッドが砂の下に潜りやすくなります。潜らないようにするには、ハイバンスでソールが厚いウェッジを使う方が脱出が簡単になります。

 プロゴルファーはバンカーでも芝の上でも同じウェッジを使用することがほとんどですが、これはフェースを開いたりしてバンス角度を調整する技術を持っているからです。練習量やラウンド回数が少なく、技術が未熟なアマチュアゴルファーは、アプローチの状況に応じてウェッジを使い分けた方が、ピンに寄る確率が格段に上がるでしょう。

あえてウェッジを使わずにアプローチする選択肢もあり

 アプローチだからといって必ずウェッジを使う必要はありません。例えばグリーンに乗っていない場合でも、転がせるライならパターを使うのも一つの手です。アマチュアゴルファーは、上げるよりも転がす方がミスの確率が減ります。

 また、逆目の芝からのアプローチでは、ウェッジで打つとリーディングエッジが芝に引っかかって予想外のミスになることがあります。タイガー・ウッズがフェアウェイウッドでアプローチをするシーンは有名ですが、フェアウェイウッドはソールが厚いため、芝の上を滑りやすいからです。芝に引っかかるウェッジよりも成功確率が高くなるため、フェアウェイウッドを選択したのです。

【解説】野倉大南

大蔵ゴルフスタジオの野倉大南クラブフィッター

大蔵ゴルフスタジオの野倉大南クラブフィッター

野球経歴20年で大学野球でも活躍した。その後、ゴルフの道を志し、ティーチングプロの資格を取得したが、現在はアマチュア競技で腕を磨くために資格を返納。ベストスコアは71。ゴルフショップ勤務やインドアレッスンを経て、大蔵ゴルフスタジオ代表の市川雄一郎氏に弟子入り。目指すは日本一ゴルフが上手いクラブフィッター。大蔵ゴルフスタジオ公式ホームページ https://www.ogs-p.jp/

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