ディスタンス系ボールは「ピッチエンドラン」が一番寄る!? アプローチミスを減らす「状況と打ち方」の判断方法とは?

グリーン周りのアプローチには主に「ランニング」「ピッチエンドラン」「ロブショット」という3通りの打ち方があります。状況と打ち方の判断が正しくできれば2~3打は違ってきます。インドアゴルフレンジKz亀戸店の筒康博ヘッドコーチに、アプローチショットの判断ポイントを聞きました。

「ランニング」は月イチゴルファーではイメージが湧きにくい

 グリーン周りのアプローチでプロや上級者がまず考えるのは、「パターで打てるか?」「ランニングで転がせるか?」です。

グリーン周りのアプローチ。「ランニング」「ピッチ&ラン」「ロブショット」をどう判断して使い分けるべきだろうか? 写真:PIXTA

グリーン周りのアプローチ。「ランニング」「ピッチ&ラン」「ロブショット」をどう判断して使い分けるべきだろうか? 写真:PIXTA

 ところが、アベレージゴルファーの中には、「ランニング」の価値を理解できない人が少なからずいます。プロや上級者は難しいライから、ボールを上げるアプローチを選択して数多く失敗しています。その経験からたどり着いた「スコアメイクのための思考」なのですが、経験の少ないアマチュアにそれを理解してもらうのは、少し無理があるのかもしれません。

 ラウンド頻度が少ないアマチュアは、ティーショットやセカンドショットでOBやトラブルにならないようショットを中心に練習するだけの人が多くいます。

スタート前に練習グリーンの外からパターで寄せたり、アプローチ練習場で転がす練習するアマチュアはほぼいない

スタート前に練習グリーンの外からパターで寄せたり、アプローチ練習場で転がす練習するアマチュアはほぼいない

 ラウンドのスタート前の練習風景を観察しても、練習グリーンの端から端までロングパットの練習をしている人や、アプローチ練習場で転がす練習をしている人を見かけることはほとんどありません。

 つまり普段から練習も準備もしていない「グリーンの外からパターで転がす」や「アイアンでランニング」は、そのイメージが湧かないゴルファーにとってはミスの危険をはらむ「難しいアプローチ」なのです。

ディスタンス系ボール使用なら「ピッチエンドラン」がオススメ

「低い弾道でキュキュッとスピンで止める」「ロブショットでバンカー先のピンにピタッと止める」。プロのそうしたアプローチに憧れる人は多いです。

 でも、技術以前にアマチュアはプレーする環境や使用ギアが大きく異なります。

 一般営業のグリーンは、プロトーナメントのように硬くて速くないため、ボールが落ちてから大きく転がる心配がありません。

ディスタンス系ボールと使い古したウェッジでは、ロフトが多い番手で打っても落ちてからのランを計算した「ピッチエンドラン」しかできない

ディスタンス系ボールと使い古したウェッジでは、ロフトが多い番手で打っても落ちてからのランを計算した「ピッチエンドラン」しかできない

 一方で使用ギアは、スピン系ボールと溝が残っているウェッジを使用するプロに対して、アマチュアはディスタンス系ボールや溝が減った古いウェッジを使用する人が多めです。そのギアではスピン量が少ないため、転がりを計算しないと寄せられません。

 結論としては、「低い弾道でスピンで止まる」イメージとは真逆の「ある程度高く上がって転がる」イメージが必要になります。つまり「ピッチ&ラン」で寄せるアプローチが最善ということです。

 高く上げるアプローチには「ロブショット」もありますが、技術的に難しいですしアマチュアは距離感が合わないでしょう。

 ディスタンス系ボールを使用する月イチゴルファーなら、「最も練習した自信あるの番手」でランを計算してキャリーさせた方が成功の確率が高まります。そうすればグリーンを行ったり来たりすることがなくなるでしょう。

ザックリやホームランの「失敗の経験」がアプローチの引き出しを増やしてくれる

「転がす方が安全」「上げる方が寄る」などと、ゴルファーによって主張は分かれます。でも、同じ打ち方一辺倒では寄せられない状況がラウンドでは必ず訪れます。

 転がし専門のゴルファーがバンカー越えなどの「高く上げる」状況でホームランしてしまった経験を積めば、ロフトの多いウェッジを使って「上げる」ショットも選択肢に加える必要に迫られます。

ボールを「高く上げる」「低く転がす」どちらか一方に偏ったアプローチをする人も、ザックリやホームランなど「失敗の経験」の積み重ねによって他の選択肢を考えるようになる

ボールを「高く上げる」「低く転がす」どちらか一方に偏ったアプローチをする人も、ザックリやホームランなど「失敗の経験」の積み重ねによって他の選択肢を考えるようになる

 一方、上げる専門のゴルファーも、何の障害もない状況からザックリのミスを嫌というほど繰り返すことで、チッパーやロフトの少ない番手で「転がす」選択肢を身に着けようとするはずです。

 プロや上級者は、状況から確率の高いアプローチを的確に選択できます。でもラウンド中のアマチュアにアドバイスしても、「失敗の経験」を積み重ねていないこともあり心にはなかなか刺さらないのが現実。

 私も「そんな場所からサンドウェッジで上げるの?」「砲台グリーンなのに転がすの?」と思うことがありますが、その人なりの事情で最善と考えた結果の判断。「失敗の経験」を積ませるために見守ってあげることも必要です。

「先にいってよ!」といわれても、「失敗の経験」をした後にアドバイスをしてあげた方が、後々のためになると私は考えています。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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