新築市場縮小の中「ケイアイスター不動産」がM&Aを加速する理由は?

分譲住宅や注文住宅事業を手がけるケイアイスター不動産<3465>が、M&Aを加速する方針を打ち出した。

同社は2016年に子会社化した、よかタウン(福岡市)を手始めとして、これまでに同分野で7社を傘下に収めており、これら企業によるシナジー効果でそれぞれの企業の成長率が高まり、グループ全体の規模拡大につながっているため、さらにM&Aに注力することにした。

建築、不動産市場は、少子高齢化や人口減少などに伴って、市場規模の縮小が見込まれており、今後競争が激化することが予想される。

そうした中、生き残りをかけて事業の拡大やコスト削減などに取り組む、分譲住宅や注文住宅事業を手がける企業を対象に、同社が持つ資金や経営ノウハウを提供することでグループ化を進め、縮小する市場の中でシェアを高める作戦だ。

こうした取り組みで2028年3月期には2024年3月期に比べ2倍近い増収と、3倍近い経常増益を目指すという。

買収企業が大きく成長

ケイアイスター不動産は、2016年のよかタウンに続き、2017年に旭ハウジング(横浜市)を、2019年に建新(神奈川県横須賀市)を、2021年にケイアイプレスト(埼玉県蓮田市)を、2023年にエルハウジング(京都市)を相次いで子会社化。

2024年に入っても4月に新山形ホームテック(山形県新庄市)と、7月にTAKASUGI(熊本市)の2社をグループ化した。

これら企業に、決められた範囲内で自由に間取りを決められ、価格を抑えることのできる規格型注文住宅のノウハウや、資材の大量購入による原価低減や安定調達などによる競争力の向上などのメリットを提供することで各社の業績が向上。

よかタウンはグループ化前の2017年3月期の売上高が約59億円だったのが、2023年3月期は約308億円と、5.2倍に拡大したほか、旭ハウジングでも2018年3月期に約16億円だった売上高が、2023年3月期には約151億円と9.4倍に、建新でも2019年3月期に約26億円だった売上高が2023年3月期には約214億円と8.2倍に拡大しており、こうした実績を踏まえ、さらにM&Aに注力することにした。

野村総合研究所が2024年6月に公表した「2024~2040年度の新設住宅着工戸数」の推計によると、新設住宅着工戸数は2023年度の80万戸から、2030年度には77万戸、2040年度には58万戸に減少するとしている。

こうした市場が縮小する見込みの中でも、M&Aによって事業エリアや新分野を開拓することで、シェアアップが可能と判断した。

今後は海外M&Aも

さらにケイアイスター不動産は2023年12月に米国に現地法人を設立し、テキサス州を中心に米国市場参入調査を進めており、現地企業との事業提携やM&Aなどを推進する計画で、今後は国内と海外の両面でM&Aが進むことになる。

こうした国内外でのM&A効果を見込み、2028年3月期に売上高5000億円、経常利益300億円の目標を掲げている。これは2024年3月期に比べ、1.76倍の増収、2.96倍の経常増益となる。

目標達成に向けM&Aが果たす役割は極めて大きそうだ。

ケイアイスター不動産

2025/3は予想、2026/3、2027/3、2028/3は計画

文:M&A Online記者 松本亮一


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