「パラマウントベッド」NEC子会社から排泄自動記録システム事業を取得

医療、介護用ベッドの最大手パラマウントベッドホールディングス<7817>は2024年10月に、NECの子会社であるNECプラットフォームズ(東京都千代田区)から介護施設向けの排泄自動記録システム「NECサニタリー利用記録システム」の研究開発、生産、販売に関する事業を譲り受ける。

2023年10月に投入した見守り支援システム「眠りCONNECT」を軸に介護事業を拡大するのが狙いで、介護施設のDX(デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)化を推進し、介護の見守り業務の負担軽減を目指す。

パラマウントベッドは2024年7月に、子会社で福祉用具レンタル卸事業を行うパラマウントケアサービス(東京都墨田区)を通じて、SMFLレンタル(東京都千代田区)からパラマウントケアサービスの代理店事業を取得した。

M&Aによる介護事業の拡大を加速するとの方針に沿ったもので、今後も介護事業拡大に向けた同様のM&Aの可能性はありそうだ。

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介護者の作業負荷を軽減

「NECサニタリー利用記録システム」は、便器などに設置したセンサーが利用者のトイレの入退出や排泄情報を自動的に記録するシステムで、介護者の作業負荷を軽減することができる。

一方、パラマウントベッドの「眠りCONNECT」は、「眠りSCAN」で算出した心拍数や呼吸数などの介護施設利用者の睡眠データを遠隔で表示するシステムで、「NECサニタリー利用記録システム」と連携することで、利用者のよりきめ細やかな健康管理が可能になる。

NECプラットフォームズでは「パラマウントベッドの見守り支援システムと、NECサニタリー利用記録システムの親和性が高く、パラマウントベッドは豊富な販売チャネルを保持しているため譲渡を決めた」としている。

パラマウントベッドは今後、「眠りCONNECT」を発展させ、睡眠、排泄、体重、室内の温湿度などの情報を一元管理できるシステムの構築に取り組むという。

2027年3月期に売上高を1200億円に

パラマウントベッドでは2024年3月時点で177施設だった「眠りCONNECT」の契約施設数を2027年3月までに2500施設以上に増やすとともに、在宅介護向けの福祉機器のレンタル利用者数を2024年3月の55万3000人から2027年3月には70万人以上に増やす計画だ。

このほかにも医療事業で、病棟備品レンタル事業などの拡大に取り組むほか、インドネシアや中国、インドなどのアジアの国々で介護ベッドの販売を拡大するとともに、新工場の建設(インド)や、新塗装ラインの導入(インドネシア)などを行い、生産能力を増強する。

こうした取り組みで、2027年3月期に売上高1200億円(2024年3月期比13.1%増)、営業利益170億円(同23.0%増)を目指すとしている。

パラマウントベッドホールディングスの業績推移

2025年3月期は予想、2027年3月期は計画

文:M&A Online記者 松本亮一

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