非自民の「受け皿」になれるか 立民代表選で勝利した野田佳彦氏「最後のピース」自任

立憲民主党代表選の有権者で、27日に投開票される自民党総裁選を意識せずに票を投じた人は極めて少なかったに違いない。「刷新感」を追い風に国民の支持を集める新総裁が誕生する可能性もある。その対抗馬として、立民所属議員らは、政権交代に向けた「最後のピース」を自任する野田佳彦元首相(67)を選んだ。

今回の代表選は、平成28年参院選から始まった国政選挙での野党共闘が岐路に立たされていることを印象づけた。

代表選の論戦の中で現実路線の安全保障政策を標榜(ひょうぼう)した野田氏や枝野幸男氏に対し、共産党は露骨に不快感を示した。

共産は、27年に成立した安保関連法の廃止を野党共闘の「一丁目一番地」と位置づける。同法を巡り野田氏が「一定の継続は前提にならざるを得ない」と発言すると、共産の小池晃書記局長は「共闘の基盤が壊れてしまう」と反発した。野田氏が今後、共産とどのような距離感で向き合っていくかを注視したい。

そもそも、外交や安保に関する立民のスタンスは、共産とは大きく異なる。主要政策に関する温度差を抱えたまま国政選挙での協力を進めたことは得策ではなかった。

令和3年の衆院選の前には、立民は政権獲得時に共産から「限定的な閣外からの協力」を受けることで合意した。「立憲共産党」批判にさらされた立民は、支持離れに見舞われて敗北を喫する。

立民が照準を合わせるべきなのは「非自民・非共産」の有権者層だ。これに自民への消極的支持層を加えれば裾野は相当広い。3年の衆院選で日本維新の会が比例代表を中心に議席を増やしたのは、これらの票が行き場を失った結果でもある。

野田氏は代表選で「穏健な保守層」への支持拡大が政権獲得には不可欠だと訴えた。新生・立民は、現状の自民に違和感を抱く中道・保守層の「受け皿」になることができるか。近い将来の次期衆院選で真贋(しんがん)が問われる。

(政治部野党キャップ 松本学)

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