立民新代表に野田佳彦氏、地元の千葉県連は歓迎「しっかり支える」 自民は警戒 

23日投開票の立憲民主党代表選で、野田佳彦元首相(衆院千葉4区)が新代表に選出された。野田氏を有志らで後押ししてきた立民千葉県連からは、27日に新総裁が選出される自民党と十分対峙(たいじ)できる「最良のリーダーだ」などと歓迎、期待する声が上がった。野田氏には来たる次期衆院選に向け、県内も含め、野党間での候補者調整が急務となる。県政界の反応をまとめた。

「野田代表が誕生し、本当に良かった。政治とカネの問題を解決し、政治に信頼を取り戻すのは野田新代表にしかできない。県連もしっかり支える」

立民の奥野総一郎県連代表(千葉9区)は代表選を終えた後、こう語った。代表選では、県内に計約7千人(令和5年度時点)いるとされる党員や協力党員(サポーターズ)らも郵便などで一票を投じた。

野田氏は平成24年、首相時代に衆院解散を断行し、野党に転落させた「戦犯」とのイメージが拭えない。

それでも奥野氏ら有志は8月のお盆明け、代表選に出るのに「自分でよいのか」と自問自答を繰り返す野田氏に直接、立候補を要請し、党の行く末を託した。

野田氏は12年前に首相退任後もJR津田沼駅前に立ち、日課のビラ配りを続けている。そんな誠実な政治姿勢を慕う関係者は多い。

同氏の事務所でインターン経験のある水沼秀幸氏はその一人。次期衆院選では、野田氏の地盤だった千葉4区の分割、再編後の新4区から出馬する予定だ。

23日、党代表選が行われた都内の会場から電話取材に応じた。

「12年ぶりの政権交代に向け、最良のリーダーが選出された。野田先生は12年前に下野した責任を誰よりも感じている。今の政治不信をなんとかしたいという雰囲気が会場全体にあふれていた」と語った。

自民には「きつい」

野田氏は自民の党派閥政治資金パーティー券収入不記載事件で政治不信が強まったとして、代表選を通じ「まさに今、政権交代前夜だ」と主張してきた。「中道・保守」路線を取る。

このため、自民県連の桜田義孝会長(衆院比例南関東)は「野田氏は人望があり、統率力もある。立民がまとまれば、自民にはきついだろう。それでも、こちらは全力で戦うのみだ」と警戒心をあらわにする。

野田氏には、国民民主党など野党共闘への候補者調整が待つ。前回の令和3年衆院選で立民は共産党との選挙協力を巡り、与党側から「立憲共産党」と揶揄された経緯もあり、どこまで調整できるのか手腕が問われる。

立民、国民民主両党を支援する連合千葉の永富博之会長(電力総連出身)は「野田新代表には政策も選挙も、私たちが支援しやすい環境作りを期待したい」とエールを送る。

政党同士の納得が必要

だが、国民民主の天野行雄県連幹事長(県議)は「野田新代表に期待はするが、エネルギー政策など政策をすり合わせ、政党としてお互いに納得できない限り、選挙に向けての候補者調整は難しい」と懐疑的な見方を示す。

野田氏は共産とは一定の距離を置いている。

共産県委員会の小倉忠平委員長は「立民との共闘では(集団的自衛権行使を容認した)安全保障関連法を廃止できるかが問われる。(野田氏が率いる)立民との共闘への門戸は引き続き開くが、まずは共産の躍進を図ることが大事だ」と指摘し、候補者の調整は容易ではないことを示唆した。

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