次期衆院選 共産、千葉全14選挙区で擁立へ 立民との候補者調整での「取引材料」の思惑も

共産党千葉県委員会は18日、次期衆院選に向け県内選挙区の候補予定者7人の擁立を発表した。いずれも新人で千葉4区は差し替えた。これまで6人の候補予定者を発表済みで、これで計13人となった。空白区の同13区も選定を急ぎ、全14選挙区で擁立する構えだ。ただ、立憲民主党との野党共闘での候補者一本化の可能性がある。共産としては候補者調整の「取引材料」にしたい思惑も透ける。

「米国言いなりの経済や軍事、大企業優先の自民党政治で良いのか。この問題に正面から対決できるのは共産党しかない」

同党県委の中嶋誠副委員長は同日、県庁での候補者発表会見でこう語った。

党代表選真っ最中の立民との共闘には「野党共闘の一丁目一番地である安全保障関連法廃止を、立民代表選では曖昧にしている」と懸念を示した。一方、「門戸を閉ざしていない」とも述べ、両党本部主導での候補者調整への期待もにじませた。

共産は前回選で野党共闘のため県内全13選挙区のうち9選挙区で候補者擁立を見送り、実際の立候補者は4人にとどまった。「その結果、県内での得票数は減り、比例票も減った」(中嶋副委員長)と、党勢回復が課題となっている。

一方の立民は次期衆院選に向け、千葉1、3、4、5、8、9、10、12、13、14の各選挙区で候補擁立を決めている。現時点で共産との競合選挙区が9つある。

両党は令和3年衆院選で、政権交代が実現した場合の共産との距離感について「限定的な閣外協力」で合意し、他の野党とともに候補者を一本化して臨んだ。だが、共産に接近する立民に対し、与党からは「立憲共産党」と揶揄され、惨敗した。

「同じ轍を踏みたくはない」(立民の閣僚経験者)との思いから、同党代表選に臨んでいる4人は共産への接近には慎重だ。その一人で報道各社の世論調査で上位につける野田佳彦元首相は「共産と対話はするが、同じ政権は担えない」というスタンスだ。

立民のベテラン秘書は「新代表が決まる23日以降、共産が揺さぶってくるのは間違いない。特に都市部は共産票がないと厳しい候補者もいる。調整は難航しそうだ」と身構える。

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