「なんでそんな嫌がらせをするんだ?」井上尚弥戦が絶望的になった“問題児”カシメロの“成田空港場外乱闘騒ぎ”の真相とは…元世界王者の仕掛け人が明かす

 プロボクシングの元3階級制覇王者ジョンリエル・カシメロ(35、フィリピン)が成田空港でWBOの審判員を相手に起こしたと報道された“場外乱闘騒ぎ”の真相が明らかになった。カシメロを招聘したトレジャーボクシングプロモーションの代表で元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏(33)が明かしたもの。体重超過による計量失格に続く、重なる失態にスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(31、大橋)との対戦を模索していた伊藤氏もさすがにサジを投げた。

 WBOのジャッジに襲いかかろうとした

 どこまでもトラブルメーカーだ。
 試合を終えたカシメロが母国フィリピンに帰国する前の成田空港で“乱闘騒ぎ”を起こしたと複数のフィリピンメディアに報道されたトラブルは本当だった。
 カシメロは13日に横浜武道館で行われたスーパーバンタム級のノンタイトル10回戦で、WBO世界バンタム級8位のサウル・サンチェス(米国)から1回に3度のダウンを奪って豪快なTKO勝利。前日計量で600グラムの体重超過を犯して計量失格となったが、当日計量で58.0キロをクリアすることを条件に試合は実施され「計量ミスなんて関係ねえ」とまったく反省の素振りも見せないまま「井上尚弥との試合を実現するためにいいアピールになっただろう。いつでもどこでもオレは試合を受ける」と語り、意気揚々とフィリピンに凱旋するところだった。
 フィリピンメディアの「SPIN・PH」などによると、空港内でカシメロと実兄でトレーナーのジェイソン氏が、同試合でジャッジを務めたエドワード・リガス氏の姿を見つけると「ウソを広め、オレたちを陥れた」と抗議し、襲いかかろうとしたという。幸いカシメロ陣営のスタッフが止めに入って、暴行事件には至らず、成田空港の警備員や、警察官が出動するまでの大問題にはならなかったそうだが、一時、緊張が走り空港内が騒然としたという。
 カシメロは、体重超過を犯したことで、JBCからルールに従い、日本国内での試合に関して1年間の出場停止処分を受けることになったが、同メディアは「カシメロ陣営がその処分をリガス氏が推し進めたと誤解していたようだ」と報じた。
 リガス氏も「カシメロは、私に突進してきた。パンチを繰り出してくるだろうと思った。もし彼の陣営に止める人がいなかったら、私はKOされていただろう」と同メディアにコメントしている。だが、この試合をプロモートした伊藤氏が、関係者から受けた報告は、かなり報道とは事実関係が違っていた。

 

 

「空港で騒ぎを起こしたことは事実のようです。ただ報道とは少し事実関係が違っていて、カシメロの姿を見つけたWBOの役員の方から『体重超過をしたことでおまえは、もう日本で試合ができないぞ』と挑発するような言葉を投げかけられ、本人は、この時点でそういう話を一切、知らなかったので『そんなわけねえだろう。おまえはなんでそんな嫌がらせをするんだ』と喧嘩になったみたいです。怒ったのはカシメロ本人で大人しい性格の兄のジェイソンら周囲が止めに入ったようで、乱闘のような大きな騒ぎではなかったようです」
 この試合で、カシメロと結んでいた3試合の契約が切れ、今や第三者的立場となった伊藤氏が伝える話が真相なのだろう。
 ただリガス氏が指摘した通りカシメロは、体重超過のペナルティをJBCから受けるので1年間日本では試合ができない。また井上尚弥陣営の“ボス”である大橋秀行会長が「カシメロとの対戦の可能性は100%ないですよ。計量オーバーしておいて豪快なKOで復活しましたなんて冗談じゃない」と断言するなど、カシメロが熱望する井上戦が実現する可能性もほぼゼロ。出場停止処分が解ける頃には、井上はフェザー級に転級しているだろう。
 度重なるトラブルに伊藤氏もさすがにほとほと愛想が尽きた。
「もうカシメロは井上選手との試合どころか日本で試合することも無理でしょう。確かに凄い試合を見せてくれましたが、体重も守れないんですから、本当に失望したし、フォローのしようもありません。ちょうど3試合のプロモート契約も切れますし、カシメロについては、もう触れたくないのが本音です。アンチの反発が想像以上に凄くて僕もまいっているんですよ」
 SNSでは、体重超過のカシメロをプロモートした伊藤氏にまでバッシングの火の粉が降りかかり、プロモーターとしての信用問題にかかわる事態にまで発展しているという。伊藤氏は、2022年12月の赤穂亮とカシメロの試合をマッチメークし、その後、3試合のプロモート契約を結び、フィリップス・ンギーチュバ(ナミビア)、小國以載(角海老宝石)、そして今回のサンチェスとの試合を組んできた。だが、今のところ契約を更新する考えはない。自業自得とはいえ、伊藤氏にまで見放されたトラブルメーカーのカシメロは、いったいどこへ向かうのだろう。

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