ハーフ3時間だと日が沈んじゃうよ… ゴルフ場の慢性的な渋滞解消のカギは「貸し切り営業」にアリ!?

先月「富士通レディース」最終日をインターネットで観戦していたところ、馬場咲希選手がダブルパーの8打を叩く場面がありました。アマチュアであれば珍しくありませんが、プロがトーナメントでダブルパーを叩くことは滅多にありません。プロでさえ急なトラブルで試合中に渋滞が発生するのですから、アマチュアのラウンドでの渋滞を防ぐのは至難の業(わざ)です。

プロの試合でも、突然の事故による渋滞は避けられない

 女子ツアーの「富士通レディース」最終日をインターネットで視聴していたところ、思わぬシーンを目撃しました。首位と1打差の通算9アンダー4位タイで最終日を迎え、この日もスコアを伸ばしていた馬場咲希選手。18番パー4の第2打をグリーン左手前のバンカーに打ち込み、次打では脱出できず、その後もアプローチで苦戦してダブルパーの8打を叩いたのです。

ハーフに3時間もかかるとさすがにイライラ… 写真:PIXTA

ハーフに3時間もかかるとさすがにイライラ… 写真:PIXTA

 このバンカーは選手たちを毎年苦しめる名物バンカーですが、ボギーかダブルボギーで切り抜けるのではと思いながら見ていました。アマチュアのラウンドであればパー4で8打をたたくトラブルは日常茶飯事ですが、プロゴルファーがOBも池ポチャもなくダブルパーを打つとは予想していませんでした。

 馬場選手のトラブルによって最終組の古江彩佳選手、高橋彩華選手、櫻井心那選手は第2打地点でかなり長時間待つことになりました。この日は11分間隔の3サムでティーオフしていたのですが、プロの試合でも突然の大きな事故によって渋滞が発生するわけです。アマチュアが7分間隔の4サムでプレーしていたら、コースのあちこちで事故渋滞が発生するのは仕方がないことかもしれないと感じました。

 コロナ禍でゴルフブームが起こり、新たにゴルフを始める人が増えました。それ自体は喜ばしいことなのですが、ゴルフ場の来場者が一気に増加したことで慢性的なコース内渋滞が発生しています。

 ゴルフ場のクラブハウスには「ハーフ2時間15分以内で速やかにプレーしましょう」というポスターが掲示されていますが、近年はハーフ2時間15分以内でプレーできることなどほとんどありません。よくてハーフ2時間30分ペース、ひどいときはハーフ3時間近くかかることもあります。

コース内渋滞をなくすことはできないが、減らすことはできるのでは

 高速道路が渋滞する原因は主に3つだそうです。

1・交通容量以上に交通が集中することにより発生する交通集中渋滞
2・工事の規制に伴って発生する工事渋滞
3・交通事故によって発生する事故渋滞

 ゴルフ場は工事の規制による渋滞はほとんどないため、交通集中渋滞か事故渋滞のどちらかが原因と推測できます。ゴルフ場がゴルファーを詰め込みすぎているとしたら、交通集中渋滞です。ゴルファーの事故(トラブル)によって発生しているとしたら事故渋滞です。どちらの原因もあるのでしょうが、プロの試合でも事故(トラブル)渋滞が起こることから、一般営業のゴルフ場もビギナーの増加によって事故発生件数が増えたことが、一番の原因ではないかという気がしています。

 ゴルフ場関係者に話を聞くと、以前は7分間隔の4サムでもハーフ2時間15分以内でプレーしていたのだから、ゴルファーのみなさんにペースアップしてほしいと切に願っています。一方で、7分間隔の4サムでもハーフ2時間15分以内でプレーしていたのは全組キャディーつきの時代ではないかという気もします。セルフプレー化を進めたのはゴルフ場ですから、それに見合ったオペレーションが必要かもしれません。

 キャディーつきプレーの時代はゴルファーがトラブルを起こしたとき、キャディーさんが全力で処理を手伝ってくれましたが、セルフプレーだとトラブルを起こしても自力で何とかしなければなりません。どうしたって時間がかかります。この問題を解決しないと、コース内渋滞はいつまで経っても解消されません。

 個人的に注目しているのは、ゴルフスクール大手のステップゴルフがビギナー向けのコースレッスンでゴルフ場を貸し切りにするプランを積極的に販売していることです。ゴルフ場を貸切にして参加人数を通常営業よりも少なくすれば、ビギナーがトラブルを起こしてコース内渋滞が発生する件数は間違いなく減ります。このように、ゴルフ場を一日限定で自動車教習所のように使うのが、もしかしたら渋滞問題解決の糸口になるかもしれません。

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