最近のゴルフ場は“詰め込みすぎ”! 楽しみに来てるのに待ち時間が長くてついイライラ… どうしてこうなってしまったの?

ゴルフ場には1日に200人程度が訪れるとされており、他のレジャー施設に比べれば利用者数は少ないほうです。しかし、なかには利用客を「詰め込んでいる」ことが問題視されているところもあるそうです。

ゴルフ場の経営方針によって1日の予約数は大きく変化する

 ゴルフ場には1日あたり50組で200人程度が訪れるとされており、テーマパークやその他のレジャー施設に比べれば、利用者数はかなり少ないといえます。

ハーフが3時間を超えるとついイライラ!? 写真:PIXTA

ハーフが3時間を超えるとついイライラ!? 写真:PIXTA

 そのため、「ゴルフ場は広い敷地であまり人も入らないから、とても余裕があるのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、実は一部のゴルフ場で利用客を「詰め込んでいる」ことが問題視されているそうです。

 では、どうして最近のゴルフ場の中には、ゴルファーを詰め込んでしまうところがあるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「もちろん、全てのゴルフ場が詰め込み過ぎているわけではなく、しっかりと各組の間に十分な間隔を空けてスタートさせているところもあります。しかし、ごく一部のコースでは『薄利多売』の考え方で予約枠を標準より多く設けて販売した結果、次から次へとスタートさせて、前後の間隔を詰めているところも見受けられます」

「最近は若い世代を中心に新規のゴルファーも少し増えましたが、やはりラウンドをするにはそれなりの費用が掛かることには変わりありません。『カジュアルなゴルフ場』を前面に押し出して、ビギナーから経験者まで多くのゴルファーを受け入れようというゴルフ場の経営方針に伴い、安い予約枠を多数設けることで利益率や稼働率を確保する狙いがあると思われます」

「ところが、各組の間隔を詰めすぎると打ち込み防止の観点から頻繁に前が空くのを待たなければならなくなり、プレーのスピードは全体的に遅くなりやすいです。理想はハーフ2時間15分以内で回るべきところが3時間以上になってしまい、集中力が切れて次第にイライラがつのり、ゴルフ場に対する評価を落としかねないリスクは大いにあるでしょう」

 詰め込みが発生しがちなゴルフ場はビジターのラウンドを歓迎している場合が多く、テキパキとプレーを進められる上級者とは違ってスロープレーになりやすい点も、全体の進行を遅くしている要因の一つと考えられるでしょう。

 対して、前後に十分な間隔を空けているゴルフ場は「薄利多売」の方針によらず、一つひとつの枠の値段は多少高くても、ゴルファーが快適にラウンドできることを最優先に考えた経営を行っているといえます。

 また、詰め込みが発生しているゴルフ場は、コース管理において万全な状態をキープすることが難しくなっています。こうしたゴルフ場では、フェアウェイがディボット跡だらけになっていたり、グリーンのピッチマークが修復されていなかったり、最悪の場合はバンカーショットを打ったまま、地面をならしていないケースもあるようです。

 これらはコース管理の問題というよりも、プレーヤー側の意識が低い点が大きな要因になっています。

「経営のため」仕方なく詰め込んでいる点も否めない

 ただし、飯島氏は「詰め込みがちなゴルフ場は、決して最初から『詰め込もう』と考えているとは限らない」と話します。

「かつて、多くのゴルフ場は都心からクルマで1時間あれば行けるほど市街地から近い地域に集中していました。ところが、バブル期以降には市街地近辺で広大なゴルフ場開発をするのが難しくなり、次第に丘陵地や山間部など郊外の中でも特に人口が少なく、都心からもクルマで2時間以上かかるところに広がっていきました」

「さらに、インターネットが普及すると市街地から近い順に予約が埋まっていき、移動だけで大きな負担となる郊外のゴルフ場は、より敬遠されやすくなったのです。それでもゴルフ場を造った以上、コースやクラブハウスの維持・管理は行わなければならず、何が何でも利益を確保する必要があるため、一組の価格を安くして、代わりに枠数をできるだけ増やす方針にせざるを得なくなったといえるでしょう」

 ゴルフ場の口コミを見てみると「明らかに詰め込み過ぎだ、プレーが楽しくなかった」などの声が寄せられていることもしばしばあります。確かにラウンドが思った通りに進まないと、イライラしてしまうことは誰にだってあります。しかし、プレー料金が低く設定されているのであれば、「仕方がない」と割り切って、自然を愛でたり雑談に興じる時間などとと考えた方がストレスにならないかもしれません。

ジャンルで探す