ティーイングエリアでのアプローチ練習は絶対ダメ! マナー違反がプレーフィーの値上がりにつながってしまう事実とは?

ゴルフ場ではプレーする全員が快適に過ごせるのが理想ですが、コース内のあちらこちらで迷惑プレーを見かけることは昔も今もなくなっていません。ゴルフ場の注意を無視して、マナー違反やルール違反を繰り返すゴルファーに知ってほしいことをインドアゴルフレンジKz亀戸・筒康博ヘッドコーチに聞きました。

「オレは客だ」と芝を痛める非常識人がいる

「ゴルフは紳士淑女のスポーツ」と昔はいわれていました。しかし、最近は「プレーフィーを払っている」というおごりからなのか、コースでいろいろなマナー違反をする人が多くなっているようです。

ゴルフ場にはローカルルールで決められた様々な禁止区域や注意書きの案内がある

ゴルフ場にはローカルルールで決められた様々な禁止区域や注意書きの案内がある

 ランニングや山登りとは違って、ビギナーから競技志向の上級者までが同じ進行ペースでラウンドするのがゴルフ場です。一般営業のコースでは途中で進行が詰まって、イライラが募ることもあるかもしれません。

 そんなとき、使われていないティーイングエリアでチッピングをして芝を痛めたり、火がついたままのタバコを投げ捨てたりするのは、ゴルファーにあるまじきマナー違反といわざるを得ません。そんなことをされたのでは、厳しい天候でも世界屈指のメンテナンスのよさを誇り、安いプレーフィを実現しているゴルフ場のみなさんの努力が報われません。

「アプローチ禁止」の看板のそばにディボットがあるのはナゼ?

「アプローチ禁止」の看板のそばにディボットがあるのはナゼ?

 日本のゴルファーは、コンディションやプレーフィーに恵まれたゴルフ場でプレーしているにも関わらず、「アプローチ禁止」の看板のすぐそばに深いディボット跡わ作っていたりします。看板が見えていないわけがなく無視していると考えると悲しくなりますが、これが今の現実。

 どんなにゴルフがうまくても、社会的地位が高くても、みなさんにはマナー違反や迷惑プレーをしないように切に願うばかりです。

芝を痛めることが少ない女性ゴルファーにはもっと敬意を払うべき

 レディースデーなどのサービスがない限り、ゴルフ場のプレーフィーは基本的に男女ほぼ同じ金額です。経営サイドに立って考えると、女性用のアメニティーなど男性よりもコストがかかる部分もあるかもしれません。

コースを痛めず、スムーズな進行マナーが多い女性ゴルファーには、もっと敬意が払われるべきだ

コースを痛めず、スムーズな進行マナーが多い女性ゴルファーには、もっと敬意が払われるべきだ

 ですが、コース上でのプレーに限っていえば、女性は小さな赤ティーのティーイングエリアを荒らすこともほとんどなく、アイアンで深いターフをたくさん取ることも、前の組に打ち込むことも基本的にありません。コースメンテナンスの面で男性ほど面倒をかけていないはずですから、彼女達のラウンドマナーにはもっと敬意が払われるべきでしょう。

 短い距離で楽をしているとか、細かいルールを知らないとか、女性ゴルファーを見下すような非紳士も少数ですがいるようです。でもそれ以前に、彼女達がゴルフ場に与えるストレスの少なさを一度見直してもいいと思います。

 女性ゴルファーの中には、ディボットやピッチマークの補修などが分かっていない人がいるかもしれません。しかし、ティーイングエリアの芝を過剰に痛めて、結果として人工マットを導入させるようなマナー違反もしません。

身勝手なマナー違反がコース状態の悪化やプレー費高騰を生む

 最近多くなっているティーイングエリアの人工マット化は、進行が詰まってカート渋滞が引き起こされるホールで起きがちです。

 待たされて手持ち無沙汰になったときに、ティーイングエリアでアプローチ練習をしているシーンを見た記憶はないでしょうか。「ちょっとだけだからいいか」という考えで一人がディボット跡を作れば、後続組の人たちもその跡を見て同じことをします。

天候などの自然が原因なら仕方がないが、マナー違反によってコースが荒れて人工マットの導入やプレーフィの値上げが起きてしまうのは悲しいこと

天候などの自然が原因なら仕方がないが、マナー違反によってコースが荒れて人工マットの導入やプレーフィの値上げが起きてしまうのは悲しいこと

 そのようにしてティーイングエリアの芝が痛めつけられると、なかなか元の状態に戻りません。現在、慢性的な人手不足になっているゴルフ場では、スタッフがコース内巡回を繰り返すことも難しく、結果として人工マットにするしか手立てがなくなっているのです。

 ティーイングエリアの人工マット化には当然費用がかかりますし、来場したゴルファーも少し残念に思うでしょう。「マナーを守る」とはゴルファー個々の常識が問われることであり、それができなければ「プレーティー高騰」というかたちでブーメランのようにゴルファーに跳ね返ってきてしまいます。

 理想のマナーとして、フェアウェイのディボット跡やグリーン上のピッチマークの修復を積極的に行うことはいうまでもありません。実際のラウンドでは「スロープレー厳禁」のなかで、余裕がある人がやるべきマナーといえるでしょう。

 ゴルフはルールやマナーがわずらわしいという人もいますが、良心的な価格のゴルフ場でプレーを少しでも長く続けるために、自分に跳ね返ってしまうようなマナー違反をしないようにしてほしいものです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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