日本選手の相次ぐ米ツアー挑戦表明に“先輩”西村優菜は「戦える」と断言 「日本ツアーの方がレベルが高い」と感じた点とは?

来季の米女子ツアー出場を懸けた予選会に日本選手が続々と挑戦を表明している。昨季から同ツアーで戦う西村優菜(にしむら・ゆな)は帰国時にいろいろと質問を受けることが多いというが、日本選手の米ツアー参戦にどんな考えを持っているのか、話を聞くことができた。

「ショットの精度は、日本の方がレベルは高いと感じている」

◆米国女子プロゴルフ

BMW女子選手権 10月16~19日 ソウォンバレーCC(韓国) 6666ヤード・パー72

 来季の米女子ツアー出場権を懸けた最終予選会(12月5~9日、アラバマ州・マグノリアグローブGC)に2年連続年間女王の山下美夢有、今季7勝している竹田麗央、岩井明愛・千怜姉妹の4人が参戦を表明した。

ゴルフのニュースの取材に答えてくれた西村優菜

ゴルフのニュースの取材に答えてくれた西村優菜

 また、米女子下部「エプソンツアー」のポイントランキング18位で出場権を得られなかった馬場咲希や今季米ツアーメンバーでシード権の獲得が厳しい状況の吉田優利も最終予選会からの出場となりそうだ。また、ハリケーンの影響で開催が遅れていた米女子ツアー2次予選会(10月22~25日、フロリダ州プランテーションG&CC)には、原英莉花、神谷そらなどが挑戦する。

 続々と米進出を目指す日本の女子選手たちだが、この状況を日本の“先輩”米ツアーメンバーはどう見ているのか? 昨年から米ツアーに参戦している西村優菜に話を聞くことができた。この流れについて感じていることはたくさんあるようだった。

「日本ツアー全体のレベルが上がってきていて、海外メジャーにも日本から来た選手が活躍できてるのを見ると、もちろん行きたいという気持ちが増すでしょう。こっちに来ても(日本の選手は)戦えるレベルまで上がってきてるんじゃないかなとは個人的には思っています」

“戦えるレベル”というのは、具体的にはどの部分なのだろうか?

「飛距離やアプローチ、パターの部分に関しては、トップレベルのLPGA選手になかなかかなわないところは全体としてあります。ただ、ショットの精度は、私は日本の方がレベルは高いと感じているんです。今年、日本ツアーに2試合出させてもらいましたが、自分の打ちたい距離、打ちたい方向にしっかり出せる技術、精度の高い選手はJLPGAの方が多い印象です。それに飛ぶ選手も増えてきているので、戦えると思うポイントがある選手が増えているはずで、だから挑戦したくなるんだと思います」

米女子ツアーは「キラキラした感じはやっぱりない」

 この間、米国生活を1年続けた先輩として、国内の選手からいろいろと聞かれる機会も増えたという。

「食事面はどうしていますかとか聞かれますが、米国での生活は慣れもあります。ただ、米ツアーに関しては、日本ほど恵まれていないとったら変ですが、キラキラした感じはやっぱりない。メジャーだと大舞台で、すごくいい大会でプレーできたとか、ワクワク感があったりするのですが、実際にそれしか見ていないと他の試合とのギャップがすごく出てくる」

 1年目は日本と米国の生活やツアー環境の違いにとまどい、苦労をしてきただけに西村の言葉に重みがある。中途半端な覚悟では生き残れない厳しい世界でもあることも西村は教えてくれた。

「日本は毎週、各メーカーのツアーバスがあって、クラブリペアができたり、ギャラリーもたくさん訪れる。初めて(米ツアーに)来たら、そこのギャップの難しさは感じてしまうかもしれない。自分もそれを経験したので……。これ(ギャップ)を埋めるためには、自分がどこで楽しみを感じられるかです。挑戦するなら20代前半、いい意味で怖さ知らずの時のほうが私はいいと思っています」

 日本ツアーの恵まれた環境は、選手の技術向上に一役買っており、実際に通用する部分も多い。しかし、米ツアーに来てみると当然、壁にぶち当たることも多いということだ。

 米ツアー2年目の今季、西村は未勝利ながらも年間ポイントランキング67位で、来季出場権が与えられる上位80人の枠に入り、フルシードをほぼ当確させた。

「私も(道を切り拓いた)先輩たちがいて今がある。これから多くの日本選手と切磋琢磨できるのはうれしい」

 本人は「もう24歳のベテラン」と笑っていたが、言葉の端々からは“たくましさ”が感じられた。

西村 優菜(にしむら・ゆな)

2000年生まれ、大阪府出身。19年のプロテストに合格し、翌年の「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」でプロ初勝利。21年は「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」でメジャー優勝を飾るなど、年間3勝をマーク。2020-21シーズンは賞金ランキング5位と躍進。昨季は米女子ツアーに参戦し、年間ポイントランキング48位に入って今季のフルシードを獲得。スターツ所属。

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