地元開催の米女子ツアーに「韓国ツアーから一人も出られない」背景に米韓の軋轢!? 理不尽な状況にも口つぐむ事情

今週は韓国で米女子ツアー「BMW女子選手権」が開催。しかし、なぜか地元・韓国ツアーの選手が一人も出ていない。そこには米韓両ツアーの軋轢が背景としてあるようだ。

出れば最大10試合出場停止、最大約1000万円の罰金

◆米国女子プロゴルフ

BMW女子選手権 10月16~19日 ソウォンバレーCC(韓国) 6666ヤード・パー72

 今週の米女子ツアー「BMW女子選手権」(10月17~20日)は韓国のソウォンバレーCCでの開催。同大会には本来、韓国女子(KLPGA)ツアーの選手たちが出場できたのだが、2年前の2022年からそれがなくなった。“裏”の同じ日程でKLPGAツアーが開催されているからだ。

2023年はミンジー・リーの優勝で閉幕した「BMW女子選手権」 写真:Getty Images

2023年はミンジー・リーの優勝で閉幕した「BMW女子選手権」 写真:Getty Images

 日本で開催される米ツアーの「TOTOジャパンクラシック」と同じ日に、国内ツアーの選手が出場できないと考えれば分かりやすい。このような“異常”とも思える事態が、今年も継続したままなのだ。

 2年前、韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)は公式サイトで「非公認海外ツアーの案内」と題して、「今年から『BMW女子選手権』が協会の公認を受けていない大会と分類されました。LPGA(米女子)ツアーのシード選手でない場合、今大会に出場できません」と掲示した。さらに「これを守れない選手には、最大10試合出場停止、最大1億ウォン(約1000万円)の罰金が科されます」と発表。

 これでは誰も出場できなくて当然だろう。21年までは母国開催の米女子ツアー優勝者に米ツアー行きの切符も与えられていたわけだが、それも手に入らなくなったわけだ。

若手からベテランまで韓国選手はノーコメント

 韓国初開催の米女子ツアーは03年で、同週に韓国ツアーを開催しないのは“当たり前”だった。しかし、同じ日程で米韓両ツアーが開催されるようになった理由は、KLPGAとLPGAが「BMW女子選手権」の放映権料をめぐり、最終的に合意に至らなかったからと言われている。

 KLPGAが提示した放映権料にLPGAが応じなかったわけだが、一説では、韓国選手の海外進出に難色を示すKLPGAが、LPGAとの関係を断つための動きだったとの声もちらほら聞こえてくる。

 この件について、現地で若手からベテランまで数人の韓国人選手に声をかけたが、いずれもセンシティブな話題のためかノーコメントを貫いた。やはり自身の意見を述べることで、多方面から批判めいた声を浴びせられることを恐れているからだろう。

 こうした措置も含め、近年は韓国ツアーも賞金額や試合数の増加など国内環境が充実したことでハングリーさが失われ、「韓国女子ゴルファーの競争力が落ちた」と言われるようになった。それに加えて世界トップレベルの選手たちとプレーする機会が失われれば、レベルの低下を招きかねない。

 多くの韓国ツアー選手が声を上げない限り、この問題の解決は難しいだろう。それとも、韓国内のツアーだけで十分と思っている選手も多いのだろうか。

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