ティーマークの色や呼称は変化の時? 高齢層のプライドを刺激する「フロントティー」や「シニアティー」という呼び名
ピンや旗は、カップがどの位置に開けられているかをプレーヤーに示す目印であり、またティーマークはいくつかの種類が色によって区別されています。では、ピンや旗、ティーマークには、決まりがあるのでしょうか。
ピンや旗は「見えやすさ」が重要
カップに取り付けられているピンや旗は、遠くからグリーンを狙う時にカップがどの位置にあるかをプレーヤーに示す目印として機能しています。
また、各ホールの第1打目を打つティーイングエリアにあるティーマークはいくつかの種類が用意されており、それらは色によって区別されています。
ピンや旗、ティーマークは、どのゴルフ場でも大体同じ色が使われていると感じますが、何らかの決まりによって色が選ばれているのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「まず、グリーンの旗に関しては特に『何色でなければならない』といった決まりはありませんが、遠くからでもカップの位置を分かりやすくするには『視認性の良さ』が求められるので、赤や黄色などの蛍光色が使われるのが一般的です」
「私は、ゴルフ場の経営コンサルティングの仕事の一環としてグリーンの旗の選び方や設置の仕方についてもゴルフ場にアドバイスをする機会がありますが、よく『春夏と秋冬で旗の色は変えた方が良い』と話します」
「春夏の場合は、フェアウェイやラフの芝も伸び盛りになるため、緑の中でも位置がはっきり見える黄色を、一方で秋冬の場合は芝の生育が止まって葉が黄色く変色してくるため、グリーンの旗も赤に交換して同化しないようにします」。
「また、ピンの色もルール上では決められていませんが、やはり視認性を考慮して黄色や赤、オレンジなどを採用しているケースが多いです。さらに白黒や白赤、黄黒といった縞模様のピンを使用しているゴルフ場もなかには見られます」
ちなみに、「ゴルフの聖地」として知られる、スコットランドのセントアンドリュース オールドコースの場合、フロントナインは白、バックナインは赤を原則としていますが、18番ホールにおいてはバックナインであるにも関わらず、白い旗が使われています。
これは、コース側から見た際にグリーンの奥に赤レンガの建物が建っており、旗が建物の色と同化して見えなくなる事態が起こらないよう工夫がなされているからです。
ティーマークは色分けを廃止しているゴルフ場も増えている
では、ティーイングエリアの種類を区別するためのティーマークの色は、どのように配されているのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「多くのゴルフ場では、前から順に赤やピンクのレディースティー、アベレージゴルファー向けで白のレギュラーティー、中・上級者向けで青色のバックティー、そして最も距離が長くて通常は競技でしか使われない黒のフルバックティーに分けられるのが一般的です」
「一応、体力や実力に合わせて位置や名称、ティーマークの色はある程度決められていますが、バックティーとフルバックティー以外はどこから打っても構わないとしているゴルフ場が多いです」
「また近年は、ティーマークを色で分けなかったり、レギュラーティーとレディースティーの間に『フロントティー』や『シニアティー』といったティーボックスを置いたりするところもあります」
「これらは、近年のジェンダーレス化に伴って『レディースティーだからと言って赤やピンクと決めつけるのは良くない』といった捉え方や、『男性でもシニアや飛距離に自信がない人はレギュラーティーよりも前のティーを使いたいという需要が増えている』といった理由からです」
ティーマークの呼称は変化の時?
ただ、ティーマークの呼称は変化の時にあるように思えます。どの距離が「レギュラー」かは人それぞれだし、高齢層の中には飛距離が落ちてきているにもかかわらず「フロント」や「シニア」という呼称が、プライドを刺激して使用を敬遠している人も多いです。
結果的にパー4でも2オンすることができずに、毎ホール2打目はウッドでグリーン近くまで運んでアプローチ勝負という攻め方になり、ゴルフ本来の楽しみを奪ってしまっているようにも感じます。
すでに、赤=レディースティー、白=レギュラーティー、ゴールド=シニアティーなどのイメージも定着してしまっていることから、例えば、色はあえて同色にし総距離のみを表示したり、これまでとは全く異なる色にしたりするなどの“改革”が必要なのではないでしょうか。
10/07 09:10
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