手堅く「やさしい」モデルか背伸びして「ハード」なモデルにするか… クラブ選びに悩んだときは何を基準にすべき?

アマチュアなら誰もが悩んだことがある「モデル」選び。ちょっと背伸びをした「ハード」なモデルを選ぶべきか、それとも身の丈に合った「やさしい」モデルにしておくべきか……。そこで、選ぶ際の基準についてゴルフフィールズ店長・小倉勇人さんに話を聞きました。

やさしいモデルかハードなモデルか? 自分のニーズを見極めよう

 クラブの性能についての評価は巷にあふれていますが、「自分に合っているクラブ」を選ぶ際には、また別の基準が必要なはず。

 かといって量販店の試打室で打ってみてもいまいちピンと来ないという人も多いはず。自分に合ったクラブ選びの基準について、ゴルフフィールズユニオンの小倉勇人店長に話を聞きました。

モデル選びで需要なのは「将来を見据えること」と小倉店長 写真:AC

モデル選びで需要なのは「将来を見据えること」と小倉店長 写真:AC

 以前、小倉店長はクラブ選びの最重要ポイントは「重さ」であるといいました。しかし一般男性であれば、「重さが適正」なクラブの選択肢は多く、それだけでは絞り切れません。では重さが適正であることを前提としたうえで、その先のモデル選びはどのようにしていけばいいのでしょうか。

 それにはまず、ゴルフクラブ各モデルがどのような「位置づけ」になっているかを考える必要があります。これはメーカーごとにいろいろな表現がなされますが、大雑把に「やさしい」か「ハード」かというマトリクスで並べて考えるとわかりやすいでしょう。

 多くの場合同じメーカーにいくつかのブランドがラインアップされています。ダンロップの「ゼクシオ」と「スリクソン」などが典型的ではっきりしており、イメージしやすいでしょう。

 他メーカーはここまで明確でなかったり、境界線があいまいなケースも多いですが、複数のブランドがある場合はこのようにターゲット別になっていることがほとんど。アベレージゴルファー向けが「やさしい」モデルで、アスリート向けやプロモデルが「ハード」なモデルです。

 さらに、同じブランド内でもモデルごとに特性が分かれています。ピンの「G430」で例えれば、スタンダードモデルの「MAX」のほかに「SFT」と「LST」があり、大雑把にいえば、つかまりがよく球が上がりやすい「SFT」はやさしく、つかまりすぎず低スピンな「LST」はハードです。

 このなかで、自分が「やさしい」に属するモデルを選ぶべきか、「ハード」に属するクラブを選ぶべきかは、自分の球筋や技術レベル以上に、今後自分がゴルフにどう向き合っていくかを前提にすべきだと小倉店長はいいます。

「いま抱えている問題点を、自分の技術で改善していきたいのか、技術的な向上はあまり考えずにクラブでカバーしたいのかを考えてください。やさしさを売りにした球がつかまるクラブは、スライサーにとっては、普通にスイングしてスライスを抑えられるのでやさしいかもしれませんが、自分で球をつかまえられる人にとっては左に行きやすく、決してやさしくありません」

「練習してうまくなりたい人がそういうクラブを使っていると、技術の向上とともに弾道が悪くなる、ミスが多くなるということが起こり結果的に上達を妨げます」(小倉店長)

将来を見据えて自分のスタイルに合ったクラブを選ぶ

 少々乱暴ないい方をすれば、悪いスイングでもいい球が出る「やさしい」クラブか、いいスイングをしたときにいい球が出る「ハード」なクラブか。

 いいスイングを目指すのであれば、後者を使うべきだというのが小倉店長の考えです。

 最近のクラブは、カチャカチャ機能はもちろんウエートの位置を変えられるものも多くアジャスト能力が高いので、最初はそういった機能でつかまりや球の上がりを補いつつ、自分の技術を磨いていくのも一つの方法です。

「これは『やさしい』クラブがダメという意味ではまったくありません。多くの場合、ハイレベルなスイングを身につけなくても、クラブに助けてもらいながら70台くらいのスコアは十分に出せます」

「ムリをして練習に励まなくても、クラブの機能を生かしながら楽しくゴルフをするという考え方も十分にアリ……というか、むしろ多くのアマチュアにとってはこちらのほうが合理的でしょう。ここは変な背伸びをせず、自分のスタイルを客観的に見て考えてください」(小倉店長)

 なお、アベレージゴルファー向けの「やさしい」モデルは総重量が軽いケースが多く、逆につかまりすぎない「ハード」なモデルは重い傾向にあります。

 そのためパワーがあるのにやさしいクラブを使いたいという人や、パワーはないけれど上昇志向という人にとっては、市販品の選択肢が絞られ、結果的に自分に合わないクラブを使わざるを得ないケースも多々あります。

 こういう人はカスタムシャフトやリシャフトなどによって重さの調整をする必要性が高くなることは理解しておく必要があるでしょう。

ジャンルで探す