上級者が気にする軟鉄鍛造アイアンの「洋顔」「和顔」とは!? ヘッドのどこで判断しているの?
国産ブランドと海外ブランドの軟鉄鍛造アイアンは、アドレス時の見た目でそれぞれ「洋顔」「和顔」と呼ばれることがあります。ギア計測を行っているインドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチにそれぞれの違いと特徴を教えてもらいました。
アドレスした時の「顔」の見た目は「ヘッド4点の高さ」で変わる
アイアンはヘッドサイズやロフトのほかに、アドレス時の「顔」によってゴルファーの好みが分かれます。こだわりの強いゴルファーほど、「ナイスショットを予感させる『いい顔』に感じるか?」を購入時に重視しています。
そんな「アイアンの顔」も軟鉄鍛造アイアンでは海外ブランドを「洋顔」、国産ブランドを「和顔」と分類されてきました。
ゴルファーの多くはアドレス時に、シャフトからリーディングエッジまでのつながり、そしてトゥ側からヒール側にかけてのラインとシルエットをなぞるように見ながら、アイアンの「顔」を無意識にチェックしています。
実際に7番アイアンをヘッド計測してみると、ヘッドの接地場所から「トゥ高」「センター高」「ヒール高」「ネック高」がどのぐらいかによって、ゴルファーの「顔」の感じ取り方が変わるようです。
海外ブランド「洋顔」と国産ブランド「和顔」の違いは、その4つの箇所それぞれで1〜2ミリ程度の違いしかありません。各ゴルファーが無意識に持っている「黄金比」といえるこの高さの違いで、「いい顔」が大きく変わってくるのです。
ヘッド高さ「5・4・3・6」が黄金比の「洋顔」アイアン
「洋顔」のアイアンの代表格といえるのがタイトリスト「T100」です。その7番アイアンのヘッド高さを計測してみると、きれいな「5・4・3・6」(トゥ高・センター高・ヒール高・ネック高)の黄金比になっています。
引き締まったヘッドサイズながら、構えた時にシャフトからリーディングエッジまでのラインとトゥ側からヒールまでのシルエットが、ターゲットにピタッと向いている印象を持てます。
一番下のスコアラインが白くなっていて「フェースが真っすぐ」ということが強調されていて、センター高が少し高いピン「ブループリントS」は、ストレートな弾道をイメージしやすい顔になっています。
トゥ側に丸みを持たせ、1ミリほど高さを抑えたキャロウェイ「Xフォージド」は、「洋顔」に「和顔」の要素を足した印象もある折衷ヘッドといえます。
このように、「5・4・3・6」(トゥ高・センター高・ヒール高・ネック高)の黄金比をベースにしつつ、各メーカーはゴルファーニーズを考えつつ「新顔」を世に送り出しているのです。
ヒールを高めにした「短重心」シルエットの「和顔」は多様化が進んでいる
一方、国産ブランドの「和顔」は、代表格であるヤマハ「RMX VD/R」のようにヒール高を出しているモデルがよく見られます。リーディングエッジを含めたシルエットがスクエアな印象をゴルファーに与え、やや「短重心」になっていて高い操作性をイメージさせます。
しかし、グローバルブランドであるダンロップ「スリクソンZX7 MkII」のように、センター高を確保しながらもヒール高を抑えたモデルや、ヨネックス「EZONE CB901」のようにネック高を抑えた飛び系モデルなど、多様化してきているのが国産ブランドの軟鉄鍛造アイアンです。
ゴルファーのほとんどがセッティングに入れている7番アイアンは、ショップでも試打がしやすくなっています。「顔」の違いによって”方向性や弾道イメージが湧くか?”は人それぞれ。そうした幅広い「顔」の選択肢の中から、自分好みのアイアンを選んでいるわけです。
先述した「ヘッド4点の高さ」が1ミリほどの違いでも、人間の目は「顔」の好き・嫌いを感じ取ってしまいます。それはミスショットにもつながるので「顔」は大事に比べたいものです。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。
09/17 10:10
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