“飛び系アイアン”も合う合わないがある!? ほぼ同じヘッドサイズの3機種を比較したら各社の個性が浮き彫りに!

オートマチックな性能で人気の「飛び系」アイアンは、王者ダンロップ「ゼクシオ13」やテーラーメイド「Qi」など、今や主流の一つになっています。人気2機種にポケットキャビティ構造のブリヂストン「245MAX」を加え、ヘッドサイズがほぼ同じな3つのアイアンを試打、人気の秘密を探りました。

誰が打っても「やさしさ」を実感できるアイアン王者「ゼクシオ13」

 アマチュアから絶大な人気を誇っている飛び系オートマチックアイアンの王者・ダンロップ「ゼクシオ13」。最新作ではシリーズ初の「中空キャビティ」構造に進化を遂げています。

ヘッドサイズは「ほぼ同じ」でも素材や構造が異なる3機種「ゼクシオ13」「Qi」「245MAX」を試打&計測した

ヘッドサイズは「ほぼ同じ」でも素材や構造が異なる3機種「ゼクシオ13」「Qi」「245MAX」を試打&計測した

 チタンフェース&4ピースで構成されたヘッドは、ドライバー並みに複雑な素材の組み合わせから余剰重量を生み出すことで、徹底的に「やさしさ」と感じさせる超低重心ヘッドになっていました。

 7番アイアンでロフト28度は最近のモデルでは定番化していますが、これだけ周辺に重量配分しながらもボールの中心高さ(約21ミリ)とほぼ同じSS(スイートスポット)高になっているのは非常にまれだと思います。

 アドレスでハンドファーストに構えやすい大きめのオフセット(6.7ミリ)と幅広ソールの組み合わせも相まって、少々ダフっても「高打出し&高初速」で飛ばせる設計だと計測で分かりました。

ダンロップ「ゼクシオ13」アイアンはシリーズで初めての「中空キャビティ」構造を採用し、非常に低いスイートスポット「超低重心」モデルに進化

ダンロップ「ゼクシオ13」アイアンはシリーズで初めての「中空キャビティ」構造を採用し、非常に低いスイートスポット「超低重心」モデルに進化

「ゼクシオ13」専用のスチールとカーボンのシャフトも振り心地は秀逸。コースで必要な「ボールが上がる」「グリーンに届く」というアマチュアに必要な機能が「全部乗せ」された人気モデルになっています。

中空構造のメリットを最大化した「超深重心」なデザインの「Qi」

 発売開始から人気のテーラーメイド「Qi」アイアンは、ドライバー同様の高MOIがコンセプト。中空ミッドサイズながらクールなバックフェースデザインや構えた時の少なめのオフセットなど、「やさしいのにカッコいい」という理由で購入したゴルファーも多いそうです。

ヘッド長は「ゼクシオ13」「245MAX」とほぼ同じながらスマートなデザインと少なめのオフセットが特徴の「Qi」アイアン。中空構造のメリットを最大化した深重心モデル

ヘッド長は「ゼクシオ13」「245MAX」とほぼ同じながらスマートなデザインと少なめのオフセットが特徴の「Qi」アイアン。中空構造のメリットを最大化した深重心モデル

 ちなみにヘッド長は「ゼクシオ13」「245MAX」とほぼ同じ。ですが「Qi」の方が若干スマートに見えるのはデザインだけではなく、全体的にフェースの高さを抑えているからでしょう。

 重心計測をしてみると、中空構造のメリットを最大化する「深重心」ヘッドになっています。7番アイアンで比較してみると、SSの高さは「ゼクシオ13」の方が低かったのですが、重心の深さは「Qi」の方が深くなっていました。

多パーツ構造「245MAX」はポケットキャビティ性能MAXな「短重心」

 一見シンプルなポケットキャビティながら、サンプルヘッドを分解してみると非常に「多パーツ」で驚いたのがブリヂストン「245MAX」アイアンでした。

 鋳造ポケットキャビティのネガティブな「硬い打感」と「振動」を吸収するために、カーボン&ラバーの「SP-COR(サスペンションコア)」テクノロジーを採用、「これでもか!」といわんばかりの高比重タングステンプレートがヘッド後方に装着され3つのネジ止めがなされています。

ブリヂストン「245MAX」アイアンは一見シンプルなポケットキャビティながら、多種多様な素材を使った「多パーツ」ヘッド構造

ブリヂストン「245MAX」アイアンは一見シンプルなポケットキャビティながら、多種多様な素材を使った「多パーツ」ヘッド構造

 素材てんこ盛りな「245MAX」の7番アイアンを重心計測してみると、ほぼ同じヘッド長の「ゼクシオ13」や「Qi」よりはるかに「短重心」、ヒール寄りのSSが非常に特徴的でした。

 大き目のオフセット以上にヘッドが返やすく、軽量カーボンシャフトの組み合わせも相まって徹底的につかまる&振り切れるクラブになっています。

 ボールを高く上げようとして、ついついコスってしまいグリーンの右手前にショートしてしまうようなスライス傾向の強いゴルファーには強い味方になってくれそうなアイアンでした。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

ジャンルで探す