パー5のスタートホールやパー3の最終ホールはなぜ少数派? 実はメリットもあるって本当?

ゴルフ場のスタートホールにはパー4が、最終ホールにはパー5が配置されていることが多いような気がしますがなぜなのでしょうか。パー5のスタートホールや、パー3の最終ホールは少数派なのでしょうか。

「スタートホールがパー5」は意外とメリットが多い

 一般的なゴルフコースは10ホールのパー4と、4ホールずつのパー3とパー5で構成されていることが多く、設計家によって18ホールの「流れ」が考えられています。また、スタートホールにはパー4が、最終ホールにはパー5が配置されていることが多いような気がしますがなぜなのでしょうか。パー5のスタートホールや、パー3の最終ホールは少数派なのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。

スタートホールにパー4が多いのはなぜ? 写真:PIXTA

スタートホールにパー4が多いのはなぜ? 写真:PIXTA

「パー5のスタートホールは決して少なくないですし、むしろパー5にした方がゴルフ場のオペレーションの観点から見れば、好ましい場合もあります。スタートホールで起こりがちなトラブルとして、いきなり渋滞が発生して後ろの組になればなるほどティーオフが遅れてしまうことがあります。コース内での渋滞はホールが短いほど起きやすく、パー3は前の組のパッティングが終わるまでティーイングエリアで待機しなければならない状態も珍しくありません」

「パー4はパー3に比べれば詰まりにくいですが、前の組がセカンドショットの位置に留まっていると、やはり流れが滞る可能性はアップします。そこで、距離が最も長いパー5を、スタートホールに設定することで、間隔が空いて全ての組が気兼ねなくティーショットやパッティングが行える効果が期待できます」

 またコース設計において、スタートホールはいかに気持ちよくラウンドを始められるかが求められますが、パー5はパー4より、スコアの融通が利きやすいというメリットが、特に中・上級者に対してあるそうです。

 仮にどちらのホールもパーを狙うとした場合、パー4はティーイングエリアから3打でカップまで近づけなければいけませんが、パー5なら多少距離は伸びるものの4打で近づければよいので、少しミスショットをしても後でリカバリーできる余地があるのです。

男子ツアー最終戦の舞台「東京よみうりCC」の最終ホールもパー3

 では、パー3のホールが最終ホールになることもあるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「一般的に、最終ホールはヤーデージを長くするとともにバンカーや池の形状なども最も難しくした『ラスボス』的な存在とされているため、パー5としている場合が多いです。また、プロのトーナメントにおいても最終ホールをパー5とした方が、よりドラマチックな展開になるといわれています」

「ところが、一部のゴルフ場ではパー3が18番になっているケースもあり、特に有名なのが男子ツアーの最終戦『日本シリーズJTカップ』の舞台としても知られる、東京よみうりカントリークラブです」

「ただ、コース設計の観点から見るとパー3は、あくまでも『アクセント』であるのが本来持つべき役割だと思っています。ですので、クライマックスとなる最終ホールにパー3を持ってくるのは、少しリスキーなことではないかと考えます」

 ちなみに、東京よみうりの18番パー3はティーイングエリアが西を向いているため、ちょうど到達した夕方に西日が差して、グリーンが見渡しにくくなります。さらに、グリーンの傾斜も非常にきつく、「男子ツアーで最も難しい最終ホール」の異名も付けられています。

 パー5がスタートホールになったり、パー3が最終ホールになったりしているゴルフ場はどちらかといえば少数派ですが、いつもと少し異なる気分でラウンドできる点は面白いかもしれません。

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