存在しなければ“池ポチャ”もしないのに… ゴルフ場の池って何であるの? 少ないゴルフ場はあるの?

1打罰を受けるだけでなく、ボールもなくしてしまう“池ポチャ”。できれば避けたいものですが、このように多くのゴルファーが忌み嫌う池がほとんどない、もしくは全くないゴルフコースはあるのでしょうか。

池が少ないコースは歴史が古い

 ゴルフコースの中には、バンカーや林といったゴルファーの進路を阻むものが点在していますが、いわゆる“池ポチャ”により、悔しい思いをした人もいるでしょう。

ゴルファーの大敵である“池ポチャ” 写真:PIXTA

ゴルファーの大敵である“池ポチャ” 写真:PIXTA

 実は一部では池がほとんどない、もしくは全くないコースもあるそうですが、本当なのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「池の数が相対的に少ないコースは、歴史が古いことが多いです。というのも、『名門コース』をはじめとした古くからあるゴルフ場は、大型の重機がまだ普及していないことや、土木技術が未熟などの理由で、都心から近くて作りやすい平野部に建設されました」

「大きな池を人の手で1から作るのは手間がかかるため、配置される池の数も自然と少なくなりました。またこれらの池は、ティーイングエリアの近くに置かれるものが多いです。コース設計の立場から考えると、ティーショットでいきなり池越えをしなければならないので、今となっては『弱い者いじめ』感が否めないかもしれません」

 そもそもゴルフ場になぜ池があるかというと、目的に応じて主に3つのタイプに分かれています。まず、緑の芝が広がっているコースの中にワンポイントで池を設けることで、全体の見た目をより美しくする「景観」の側面。

 次に、プレーヤーの前に立ちはだかるように配置し、「どのクラブを選択すべきか」や「左と右のどちらから攻めた方が安全か」といった攻略方法を考えさせ、コースマネジメントを豊かにする「戦略性」として置かれるもの。

 最後は、災害に備えた「調整池」としての役割です。造成にあたって樹木を大量に伐採すると、地面の保水力が低下し、大雨が発生した際に地中にしみ込まなかった雨水がすべて河川に集中します。その結果、増水や氾濫を引き起こし、下流の地域に甚大な被害を及ぼす恐れがあるのです。

 そのためコース内で水の勢いを弱らせ、一時的にためておける「ダム」の代わりとして機能させるのも、ゴルフ場の池の大きな役割とされています。

「名門コースや歴史の長いコースは池が少ない」という点に着目し、「関東七倶楽部」に属する小金井カントリー倶楽部や東京ゴルフ倶楽部、鷹之台カンツリー倶楽部などを航空写真で実際に確認してみると、確かに池がほとんどなかったり、あったとしても1〜2カ所ほどしかないことが分かりました。

 飯島氏によると、「池が配置されている古いコースでも、元々その場所にあった調整池を流用しているケースがほとんど。最初から戦略的に置いてあるものは少なく、なかには後のコース改良で新たに池を作ったゴルフ場もある」そうです。

池が少ないのが当たり前なコースもある

 また、飯島氏は「元から池が少ないのが主流なゴルフ場も存在する」と話します。

「俗に『リンクス』と呼ばれる海沿いのゴルフ場、特にスコットランドにある由緒正しいリンクスは、池がほとんどない、もしくは全くないところが多いです。その代わり、川の河口が近いことから、クリークが通っている場合があります」

全英オープンの舞台として知られるセント・アンドリュース・オールドコースの1番・18番ホールには『スウィルカン・バーン』という小川が流れ、小さな石橋がかかっており、名物になっています。リンクスは元からある地形をできる限り活用して作られているので、人工的な池よりも自然の川を流用したハザードが多くなるのです」

「ちなみに『スウィルカン・バーン』はかつて地元住民にとって「洗濯をする場所」だった過去があり、プレーヤーの打ったボールが干してあった洗濯物に当たってしまうケースが頻発したそうです。そのことが、ローカルルール第1号として「リプレース」が生まれたきっかけになりました」

「ゴルフ場には池がつきもの」という印象があるかもしれませんが、池には様々な成り立ちや逸話があることを知っておくと、ラウンド中の話のネタの一つになるでしょう。

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